専門コラム 社員のポジティブ感情を活用して経営に活かす方法 2
第122話: 社員のポジティブ感情を活用して経営に活かす方法 2
前回のコラムでは、社員ひとり一人が自分で出来る「ポジティブ感情の扱い方、保ち方」を学び実践する機会を作るのが重要であるとお伝えしました。
心理学者バーバラ・フレデリクソンが提唱した「拡張-形成理論」によると、ポジティブな感情というのは、思考や行動の幅を広げ、その結果、より多くのポジティブ経験を生み出すと言われています。
ところで、今の若い世代の社員は、SNSなどで普段からたくさんの「いいね」を欲しがるという承認欲求を持っていると言われています。それを否定、批判するつもりはありません。承認欲求があるからこそ、行動し、結果を出すのであれば何も問題ありません。
が、いったん、ネガティブ思考のサイクルに入ってしまうと、気分の落ち込み、自信喪失、さらなる失敗と悪いループに入り込んでしまう場合もあります。実はこのような状態に陥り、上司から叱責や指導だけが続いてしまい、このループから上手く抜け出せないことが問題なのです。
「若い人材を育てたい」「自社に定着してもらい成果を出してもらいたい」と本気で考えている社長は、このような自社内にはびこる育成の課題を「個人の性格」「個人の考え方」などと、その原因を「個人」と捉えません。組織全体で取り組む育成の課題として考えています。
このような場合、鍵を握るのは、若手を育成する「管理職」です。まずはこの管理職の意識を変える必要があります。彼らこそが、ポジティブ感情を持ち続ける必要があり、同時に、部下からポジティブ感情を引き出すという関わり方が必須なのです。
管理職に求められる 部下の感情マメジメント
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「部下の感情をマネジメントする」と言っても、どんな感情を感じるかは個人の自由であり、他者からコントロールさせることではありません。そのため、相手を気分よくさせる、ご機嫌をとるということだと勘違いしてしまうと大変なことになります。
ここではあくまでも、職場において、ネガティブ感情を引きずらずに、ポジティティブ感情を引き出すという方法のひとつとして捉えておいてください。
その場合、特に大切なのがポジティブなフィードバック、つまり相手を「勇気づける」関わりをするということです。昔のように、叱咤激励をして人が育つという時代ではありません。
基本的には、「よく見で、頻繁にポジティブな声がけをする」ということです。ただし、これも上手くできる管理職とそうでない管理職がいます。研修などで部下への指導法やリーダーシップなどを学んだとしてもそう簡単には出来ません。
といって、出来ないから仕方がないと放置していてもいけません。そのためシンプルな方法を仕組みとして取り入れることを強くお勧めしております。
定期的にスケジュールに組み込み、誰もが同じルールのもとに、できるだけ同じレベルで各管理職が実践出来るようにすることが肝心なのです。
また、これは言うまでもありませんが、これからの時代、コミュニケーションが得意な人材を管理職に登用すべきであり、会社としては、部下一人ひとりの能力を発揮できるよう、感情マネジメントを行う能力があるかどうかをよく見極める必要があるのです。
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今週の提言
部下の感情マネジメントを自社の仕組みにする
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