専門コラム うまく行かない時こそ、人を育てる絶好のチャンス
第120話:うまく行かない時こそ、人を育てる絶好のチャンス
イキイキ働く社員が育つ人材育成、働きがいのある職場環境や活気ある組織風土づくりを専門に行っている当社には、社長自ら職場環境づくりに熱心な企業の社長さんからも様々な相談をお受けしております。
弊社のセミナーにお越しになる経営者の方は、自社の職場内の人間関係、つまりコミュニケーションで、大変な危機意識を持っていらっしゃる方ばかりです。
年齢差が大きく、働く価値観やプライベートな背景が大きく異なる社員の間において、適切なコミュニケーションが行われていないのではないかと感じてはいるものの、どう対応すべきなのか、改善すべきなのかと頭を悩ませていらっしゃいます。
ですが、物事が比較的うまく行っている時は、人の感情はポジティブになるため、目の前の課題についても「なんとかなるだろう」とか、あるいは「今のところは大丈夫」などと考えてしまう傾向があります。
そのため、「なんとかしなければ」と相当な覚悟を求められるのは、実はうまく行っていない時、つまり失敗した時なのです。言い換えれば、社員が失敗した時にどう捉えるかを理解した上で、トップが、上司がどう関わるべきかを知っていれば、それは相手を成長させる関わりとなるのです。
この「失敗した時」にどう考えるかは、人により様々なのですが、案外その「違い」は見過ごされてしまっています。そのため、人材育成のために大変重要な転機になるにも関わらず、指導方法が一緒くたになってしまい、残念な結果になっているのです。
そこで、今回は、失敗した時にどう捉えるかの違いにより、どのように関わるべきなのか、そのヒントをお伝えしていきます。
失敗した時の原因の捉え方が異なる3つのタイプ
外的な要因 「課題が難しかったからだ」
内的な要因 「自分の能力がないからだ」
内的な要因 「自分の努力が足りないからだ」
外的な要因 「課題が難しかったからだ」
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まず、一つ目の失敗の原因を外的な要因にしてしまうタイプです。自分は悪くない、難しかったからだ、相手が悪かったからだと自分以外の外に原因をみつけるということです。このタイプは、自分が悪いのだという事実を受け入れられない未熟さを持っています。
もちろん、顧客や世間に迷惑をかけたという場合は論外ですが、目標を達成できなかったなどの場合、このタイプに、「自分の非を認めさせる」ことだけをゴールにするとうまく行きません。まずは信頼関係を構築する必要もあるため、
「次にどうやったらうまく行くのか」を徹底的に考えさせ、その中で、特に自分でコントロールできる項目を選ばせて実行してもらうという関わり方も必要なのです。
内的な要因 「自分の能力がないからだ」
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次に、自分の能力がないからだ、才能がないからだと考えてしまうタイプです。要するに、自信がない、自己効力感が低いタイプです。真面目で一所懸命に取り組むのですが、普段から自分に自信がなく、上手くできないのが当たり前とさえ思っているふしがあります。
そのような場合は、まず、出来ていることに目を向けさせることが最も重要になります。その上で、次に失敗しないような対策を考える、その際に上司が具体的な支援などを行うと良いでしょう。
内的な要因 「自分の努力が足りないからだ」
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最後に、うまく行かなかったのは、自分の努力が足りなかったからだと考えるタイプです。このタイプは達成動機が強い人とも言えます。失敗の原因を自分の中に見つけ、しかももっと努力すればうまく行くと前向きに捉えることもできる健康的思考を持っている方ともいえます。
その場合は、それ考えを後押しするフォードバックをすればよいのです。具体的にどのようにもっと努力すべきなのかを考えてもらい、それを実行するための背中を押してあげるという関わりが重要なのです。
このように、失敗した時にそれをどう捉えるかという、個々の思考や価値観を見つけ出すことで、その指導法や育成法にも違いが必要となります。
とはいえ、現場で実践するのは、ハードルが高いとも言えます。そのため、どのタイプにとっても、自尊心や自己効力感を失うことなく、持続的にやる気を引き出す関わり方をすればよいのです。具体的な方法は、弊社のセミナーでお伝えしています。
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2019年9月4日(水)・10月18日(金)
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