専門コラム なぜ若手は辞めるのか?中小企業の管理職が知らない「意外な盲点」

「最近の若手はすぐ辞める」そんな声をよく耳にします。
中小企業においては特に、せっかく採用した若手社員が3年以内に退職してしまうというケースが後を絶ちません。
「辞めない人を採用したい」「定着率を高めたい」と、採用や制度の見直しに取り組む企業も増えています。
しかし、意外と見落とされがちなのが、「辞める原因は若手本人ではなく、管理職側にある可能性が高い」という視点なのです。
若手が辞める「本当の原因」とは?
多くの企業で、離職理由として挙げられるのは「仕事が合わなかった」「人間関係に悩んだ」「やりがいを感じられなかった」などでしょうか。
しかし、これらの言葉をよくよく紐解いてみると、その背景には「上司とのコミュニケーション不全」が潜んでいることが少なくありません。
特に若手社員にとって、上司は「相談相手」であり、「成長の支援者」である存在です。
その上司との関係性が良好でなければ、職場に安心感や将来の希望を感じることができず、退職という選択を取ってしまうのです。
「スキルよりも姿勢」育成の鍵はここにある
離職対策として、「管理職向けコミュニケーション研修」を実施する企業も増えています。しかし、単なるテクニックや 話し方のコツだけでは、根本的な改善にはつながりません。
最も重要なのは、「相手を理解しようとする姿勢」です。
若手とのコミュニケーションでまず大切なのは、「相手は自分とは違う存在である」という前提を持つこと。
たとえ自分が経験してきたことでも、今の若手にとっては背景や価値観がまったく異なります。
「こうに違いない」「自分の若い頃はこうだった」という思い込みを捨て、わからないことは聞き、理解しようと努める姿勢が、信頼関係を築く第一歩なのです。
「聞いているつもり」が一番危ない
また、「若手の話をしっかり聞いているつもりなのに、なぜか距離を感じる」という管理職の方も多いものです。
その理由の一つが、「指導しなければ」「アドバイスしなければ」と無意識に思ってしまうことです。
アドバイスすることが上司の役目だと思い込んでしまうと、目の前にいる若手の本音を引き出すことはできません。
重要なのは、アドバイスよりも「共感」です。
「そう感じていたんだね」「そんなふうに思っていたとは気づかなかった」といったリアクションが、若手社員にとって「自分を理解してもらえた」という実感につながります。
この「共感の積み重ね」こそが信頼関係を生み出し、若手の離職を防ぐ最大のカギなのです。
昔の常識は、今の非常識に
現在の管理職世代が若手だった頃と、今の20代とは大きく違います。
「背中を見て学べ」「わからないなら聞くな」といった時代の価値観は、もはや通用しません。
令和時代の若手育成には、「丁寧に向き合い、対話を重ねる」ことが欠かせない時代です。
そのためにも、短期的な研修だけでなく、管理職のマインドセットを根本から見直し、職場全体として「育てる文化」「相談しやすい風土」を育てていく必要があります。
最後に|離職を防ぐのは、制度でもマニュアルでもなく「人」
若手の早期離職を防ぐには、人材育成や制度面だけではなく、「誰が、どのように接しているか」が問われます。
中でも、最も影響力が大きいのは直属の上司です。管理職一人ひとりが、「自分の関わり方が未来を左右している」という意識を持つことが、離職を止める第一歩です。
そのことにいち早く気づき、手を打っているかどうか。それが、今後の会社の未来の発展に大きく影響していくのです。
今日の提言
上司とのコミュニケーション不全が大きく関わっている

