専門コラム 中小企業の社長必見!1on1を成功させる社長に必要なマインド

1on1を実践するにあたり、経営者に最も必要なもの、求められているものは何でしょうか。
先日、拙著「中小企業の社長のための はじめての1on1 心理カウンセラーが教える「1on1」で優秀な社員を育てる方法」を読んでくださった経営者の方から感想をいただきました。
やりとりの中で感じたのは、1on1が成功する企業、1on1を上手に実践できる経営者は、ノウハウが巧みなのではなく、まず、マインドがしっかり、はっきりされている方だということです。
本の中でもご紹介したのですが、「傾聴」、「フィードバック」「心理的報酬の活用」など、1on1を実践する時のノウハウももちろん大切です。
ですが、それ以上に欠かせないのが、経営者のマインドです。
どのようなマインドかというと、部下を「信頼」、「尊重」するマインドです。
そもそも、部下に対して、「能力が低い」、「自分が教えなければ成長しない」と思いこんでいると、たとえ言葉に出していなくとも部下には伝わってしまいます。
すると、1on1の場においても、部下は上司の顔色をうかがい「物分かりの良い部下」を演じてしまうのです。
あるいは、部下の考えはダメ出しされ続ければ、部下自身が自分は尊重されないと感じ、「何か発言しても無駄」と殻に閉じこもってしまいます。
それどころか、「自分は能力が低い」、「信頼されていない」とどんどん自分に対する自己評価が下がってしまい、自己肯定感も低くなっていきます。
その結果、1on1を取り入れたとしても、自信のない部下ばかりになってしまい、生産性の向上や部下の成長は決して望めないでしょう。
また、経営者には「覚悟」が必要です。
覚悟があれば、1on1を雑談で終わらせるようなことはしません。
互いに自己開示をするなど、場を和ますコミュニケーションも必要ですが、それはあくまでも1on1の一部です。
雑談で終わらせてしまうのは、経営者自身が「部下に成長してもらいたい」、そのためには「自分は自分だけが正しい答えを知っていると決めつけずに、相手の話に耳を傾けよう」とすることから逃げているからです。
これまでも自分の指示命令スタイルを変えずに、部下を信頼、尊重もせずに1on1だけを取り入れても何も変わらないのです。
あるいは雑談を笑顔で終わらせることで「物分かりの良い社長」、「優しい社長」になることが重要だと思っているからです。これでは、部下の成長や会社の成長は望めません。
覚悟のない社長の言動などは、すぐに部下から「薄っぺらい」と見抜かれてしまうでしょう。
1on1は部下の時間であると言われますが、上司自身も成長できる場でもあります。
経営者自らが、相手から学ぼうとする意欲や姿勢がなければ、絵に描いた餅で終わってしまうのです。
まずは経営者自らがマインドを変え、1on1に向き合う必要があるのです。