専門コラム 1on1の定着を促すための社員参加型プロジェクトとは

1on1を社内に浸透させるにあたり、必要なのは、言うまでもありませんが、継続することです。
ただ、その「継続すること」がなかなかできないわけです。
というのも、1on1をやっているが思ったように上手く出来ない、成果が見えづらい、部下からも反発があるなど、なんらかの障害が立ちはだかることが多いからです。
そんな試行錯誤の中で、「続けていくこと」、そして「社内に定着させること」は相当難しいことではありますが、いくつかのコツがあります。
基本をおさえよう
定着させる前に、まずは基本をしっかりと行いましょう。
基本とは、「1on1とは何か」「どのように行うのか」という情報の共有はもちろん、「なぜ行うのか」という目的の言語化をすることです。
そしてその目的をトップ(社長や人事責任者)が自らの言葉で社員に伝え共有することです。
会社の熱意を伝えるのです。
プロジェクト化しよう
当社のコンサルティングでは、1on1を実践し定着させることを1つのプロジェクトとすることをお勧めしています。
プロジェクトの責任者として社長と共に率先して動いてくれるメンバーを1名任命すると良いと思います。
可能な時間を使い、1on1に関する書籍を読んだり研修やコンサルティングを受けてもらいます。この方には、社内で最も1on1に詳しい人物となってもらうのです。
次に、プロジェクト責任者に協力する、若手社員を含むプロジェクトメンバーを募ります。
メンバーは、将来、管理職候補として育成を考えている社員に依頼すると良いでしょう。
なぜなら、プロジェクトを通じて、俯瞰的な視点を手に入れることが出来ること、そして社内に人脈が広がるからです。
さらに、人事部など特定の部署のメンバーで構成するのではなく、可能であれば、様々な立場や経験のあるメンバーを選びます。
なぜなら、社内の様々な部署の社員が参加していると、1on1を実践していく時に生じるであろうそれぞれの現場の課題を事前に推測できるからです。
障壁を出来るだけ回避する対処についても、各部署から選ばれたメンバーであれば、現場にそった解決策が出てきやすいでしょう。
また、現場に戻って1on1を推進していく際に、選ばれたメンバーが旗振り役となってまわりを巻き込んでいくことも可能になります。
社内のルールづくり
プロジェクトメンバーは、自社内で1on1をいかに理解してもらい、定着できるのかを考えていきます。
まずすべきことは、社内のルールをつくることです。例えば、「毎週木曜に、直属の上司との1on1を20分実施する」などの基本的なルールのことです。
この社内ルールは、自社の社風や、どんな年代のどんな考え方の社員が多いかなど特徴をとらえ、社内でどうすれば抵抗感が少なく浸透していくかの知恵を絞り、ルールや仕組みを率先して作っていく方がうまくいくようです。
実際、これまでコンサルタントとして関わった企業では、直属上司との1on1だけではなく、部下が相談する相手を選べるスタイルにする会社もありました。
1on1をしながら、お茶を飲み、お菓子を食べながらリラックスした雰囲気で行うことに決め、1on1を「○○カフェ」という名称にするなど様々なアイディアが出てきたこともあります。
また、プロジェクトに積極的に参加し、実践した社員やチームを表彰したり、インセンティブを提供する仕組みを考えた企業もありました。
このように、1on1を浸透させるプロジェクトを通じて、社内のコミュニケーションが活発になっていきという2次的な効果も期待できるのです。
1on1を社内に根付かしていきたいと本気で考えているのであれば、ぜひプロジェクトにすることで多くの社員を巻き込みながら、社内ルールを決めていくのがお勧めです。