専門コラム 優秀な社員が辞めない組織が行っている「キャリア支援」とは
成長意欲の高い社員を定着させるためにお勧めなのが、社内にキャリアを支援する制度をつくることです。
優秀な社員ほど、常に、将来は「今後、こんな仕事をしてみたい」、「より上の職位になりマネジメントを経験したい」、「これまでとは全く違う業務で自分を試してみたい」などと考えているものです。
仕事を通じて成長したいと願っています。
彼らを支援するためにお勧めなのが、社内にキャリアを支援する制度をつくることです。
3つの制度について具体的に解説します。
社内公募制度
社内公募制度とは、人材が必要な部署が募集をかけ、社員が応募できるという人事異動の制度のことです。社員が自発的に、積極的に部署異動を希望できるのが特徴です。
「営業で数年実績を積んでキャリアを磨いてきたが、マーケティングに異動して視座を広げたい。」
このような優秀でやる気のある社員のモチベーションを上げ、転職などの離職を防ぐという点において大きなメリットがあります。
先日、ある銀行で一部の女性社員の方々と面談を行いましたが、これから結婚や出産を望んでいる多くの方々が、今後のキャリアの方向性を真剣に考え、悩んでいました。
彼女たちは、数年は転勤が少ない部署で内勤を中心に働きたい」など、明確なキャリアビジョンを持っていました。
実際に、その銀行でも彼女たちは優秀な戦力であり、今後、組織としては、社員のライフスタイルに合わせたキャリア開発がますます求められるでしょう。
メンター制度
メンター制度とは、社内の経営幹部や先輩社員が、その豊富な知識や経験をもとにメンターとなり、後輩社員であるメンティに対して、個別に相談に乗り、課題解決の支援をするというものです。
尊敬できる先輩社員がいれば、たとえ他部署であってもメンターになってもらい、仕事の進め方や課題への取り組み方などを学ぶことができます。
特に、直属の上司との相性が悪く、仕事に対する向き合い方や今後のキャリア開発に悩んでいる場合はすぐに転職という選択をしてしまいがちです。
メンター制度の導入は人間関係が原因で、優秀な人材が流出するのを避けるためにも有効なのです。
社内プロジェクトの活用
中小規模の企業では、これらの制度を導入することが難しい場合もあるでしょう。
そんな時にお勧めなのが社内プロジェクトの活用です。
当社のアクティブメンタル組織づくりコンサルティングは、進めるにあたり、「社内のプロジェクト」としてもらいます。
メンバーは様々な部署から集められた立場の幹部候補生と言われる人たちが中心です。
コンサルティングでは、「社内のコミュニケーションを活性化する」、「チームの一体感をつくり生産性を上げる」など組織の問題を解決するために議論し、社内にしくみを導入するまでを行います。
実際に、クライエント企業から、コンサルティング終了後に、プロジェクトチームで活動したことで、メンバー間の交流が深まったことや、会社の課題を俯瞰的に捉え、解決するという経験を通じて、メンバーの「視座が高くなった」、「リーダーシップを発揮できた」との感想をいただきました。
社内プロジェクトチームのメンバーとしての活動が、幹部候補生の育成に役だったというわけです。
このように、社内にキャリア支援の制度を設計し実践すること、社内プロジェクトに任命することを通じて、優秀な社員にチャンスを与え、成長してもらい、結果的には、離職を防ぐという効果も期待できるのです。
今週の提言
優秀な社員が、社内でキャリアを伸ばせる制度をつくり成長を支援する