専門コラム 出来る部下が辞めないために会社が提供できることは何か

以前、コンサルティングを受けられた企業の事業部長さんからのご相談です。
「会社に必要な人材で、ぜひ今後も活躍して欲しいと願っていた社員から、もっと仕事で成長したいと相談された。」というのです。「成長できないならば、近いうちに転職を視野にいれていると言われた」のです。
この会社は新入社員が憧れを抱く企業の1つなのですが、最近の若手社員からは、会社への忠誠心が感じられないのだとか。
それよりも、自分が仕事を通じて、いかに成長できるかが大切という意識が強いとのことでした。
「どんな会社で働くか」よりも「どれだけ自分が成長できる仕事か」と自分思考で働いているのですね。
しかも、もともと能力があり、自分の将来のキャリアを見据えている優秀な社員に多いようです。
そのため、冒頭の事業部長の方の発言に行きつくわけですが、○○という大企業、有名な企業で働いているという「企業のブランド」ではなく、関わっている仕事自体の魅力、そして一緒に働く上司や同僚の魅力が問われているということです。
一方で、彼らのような自分思考の若手にありがちなのが、「やりたい仕事」、「憧れる仕事」に興味関心が行きがちということ。
キャリア相談で若手の話を聞いていると、入社後すぐに「やりたい仕事」が出来るわけでもないため、今、目の前にある仕事に対してあまり関心を持つことができず、やる気を失っている方もいます。ただただ「やりたい仕事をする自分」という夢を叶えるために、安易に転職を考える傾向すら感じます。
しかも、彼らのいう「やりたい仕事」は、ある程度の経験や専門的なスキルが必要なことも多く、簡単に手に入るものではありません。会社としても優秀な人材だからこそ、まずはしっかりと実績や経験を積んで成長してもらいたいと考えているのです。
そんな時、今現在の仕事に真摯に向き合い、能力を発揮してもらうためには、会社として、上司としてどんな心構えでどんな関わりが必要なのでしょうか。
お勧めは、小さなゴールを設定し達成感を持ってもらうことです。
例えば、1年後の目標達成にあたり、今後3ヶ月で出来ることを洗い出します。そしてさらに具体的な行動に落とし込み、それを小さなゴールにするのです。
小さなゴールの設定と達成を繰り返してもらい、1つ1つはしごを上がっていくように
大きなゴールを達成してもらうのです。これを「ラダー(はしご)効果」と言います。
達成したら十分に認めほめること、評価することが重要です。彼らも「今回も達成できた」という自己効力感が積み重なることで、モチベーションが上がっていくのです。
もう一つは、複数の選択肢の中から選ばせることです。その選択に責任を持ってもらうという「オプション効果」を利用することです。
自ら選んだ方法で仕事を進めるため、「上司からやらされている仕事」という意識が薄れ、やりがいを持って仕事に取り組んでもらいやすくなります。もちろん、上司として彼らの選択が上手くいくようフォローやサポートを忘れてはいけません。
このように上司の声かけや仕事の進め方の工夫で、若手社員の成長意欲を満たすことが可能なのです。
「実績もない段階でわがまま言うな」、「まずは頑張って結果を出せ」というだけで、彼らの成長意欲を削いでいませんか。
当社は、社員が辞めずに活躍し業績が伸びるアクティブメンタル組織づくりをお勧めしています。アクティブメンタル組織づくりの成功のカギは、管理職にあります。
管理職に部下育成マインドを持たせたいコミュニケーション能力をあげたいならば、まずは1on 1導入のための部下育成研修の導入をお勧めします。
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今日の提言
優秀な人材には小さな成功体験を積み重ねる支援をし、自らの選択に責任を持たせるチャンスを提供する