専門コラム 辞めたいと言われた!30代部下のキャリアをどう支援すべきなのか
「30代の部下が最近やめたいと言っていると耳に入ってきたのですが、上司としてどんなコミュニケーションをとる必要があるのでしょうか。」
最近、人材育成に力を入れている会社の人事部に寄せられる管理職からの相談です。
30代からの離職率が増え、人事としては管理職にしっかりと部下の相談に乗るようにと、定期的な1on1面談を勧めているとのこと。
30代の部下の悩みを聞いていると、「仕事が合わないと感じる」「このまま、この仕事を続けていて良いのか迷っている」というキャリアの相談が多いといいます。
そして、将来への不安や、向いていない仕事を続けることのモヤモヤを抱え、相談する人がいない中、この悩みから抜け出すには「会社を辞めるしかない」と結論づけてしまうのです。
ところが、人事部では、1on1面談をすることを勧めてはいるものの、キャリアに関する相談をどのように行うのか、自社にノウハウがなく、管理職にどう伝えて良いのかわからないというのです。
このコラムでは、社内で行うキャリア面談のやり方について、簡単にご紹介します。
キャリアコンサルタントが行うキャリア面談では、キャリアの棚卸しをじっくりと行います。
これまでのキャリアを振り返り、
・Can:自分ができること(知識・経験・スキル・能力など)
・Must:会社から求められていること
・Will:今後やりたいこと
に分け、書き出してもらいます。
管理職が行う面談でも、Can、Must、Willについて聞き取りをすることはできるはずです。
普段の面談では、業務上、Can(出来ていること)とCan not(出来ないこと)をあぶり出し、目標設定を行うことが多いと思いますが、キャリア面談でこれを行うと、出来ていないことに焦点が当たってしまうことが多く、部下のやる気を著しく損なうことになります。
自尊心や自分には出来るという自己効力感も失うことになり、「この仕事は向いていない」という結論になりがちなので要注意なのです。
キャリアの展望を持ってもらうためにも、Can(出来ていること)を抽出し、管理職がしっかりと評価をすべきです。この場合の評価とは、承認するということです。
次に、会社から求められていることを一緒に考えます。現在のポジションで求められていることだけではなく、3-5年後に求められていることを伝えることで、部下は自分の未来像を描きやすくなるのです。
そして、最も重要なことは、Will(やりたいこと)を聞きだすことです。
転職を考えているといっても、案外、自分のやりたいことを明確に言えないこともあります。
今の仕事が向いていないと感じていたとしても、どんな仕事が向いているのかはわからない・・・そういうことが往々にしてあるのです。
だからこそ、何がやりたいのかをじっくり考えてもらう言語化してもらうという習慣を作るべきなのです。
やりたいことがわからなければ、キャリアで満足することは出来ないでしょう。
やりたいことを目標にして、頑張ることさえ難しくなるでしょう。
ですが、開発部にいる社員から、営業をやってみたいと言われたら、どうしたらよいのでしょうか。
「うちでは無理だよ」と返してしまうと、優秀な人材が辞めてしまうことになりかねません。
このような場合、管理職がすべきは、その部下が「営業をすることで何を得たいのか」という仕事に求める「価値」を聞きだすことなのです。
その答えによっては、営業職に異動することなく、部下の「仕事に対する価値」を尊重し、実現することが出来ることもあるからです。
1on1面談で、キャリアに関する内容を扱いたいとお考えならば、ぜひ一度、当社にお問い合わせください。
今日の提言
部下との1on1では「仕事の価値」をどこに置いているのかを聞きだす。