専門コラム ベテラン社員のやる気を引き出す管理職の関わり方のポイント
「幅広い年齢が働く自社では、社員間のコミュニケーションが、以前から課題でして。最近では特に、年上の者が部下になるというケースも多く、30-40代の管理職が、どうコミュニケーションを取ったらいいのか悩んでいるんです。」
中小企業の社長と人事責任者がそろって話をしてくださいました。
「我が社のベテラン社員は大変優秀な方が多く、再雇用で働いてもらっているのですが、以前より仕事内容や条件が異なることもあり、なかなかモチベーションが保てないようで・・
管理職が、まだまだ彼らには頑張ってもらいたいと願っているのですが、コミュニケーションが上手くとれていないので、職場雰囲気が暗いのです。」と続きます。
相手がベテラン社員の場合、若い管理職側の方が委縮してしまうのですね。
また、ベテランの方々には新たなスキルや知識を得るという意味での「育成」は必要ではない場合も多く、どちらかというとモチベーションを継続してもらいたいという「心の育成」が求められているのです。
「心の育成」って何?
「心の育成」というと難しく聞こえるかもしれません。
簡単には、いきいきと気持ちよく働いてもらうやる気ややりがいを持って働いてもらう。そんな「心持ち」を持ってもらうように働きかけることです。
激励だけでは心は育たない
いきいきとやる気ややりがいを持って働いてもらうために、「仕事を任せて頑張ってもらう」という方法では、心は育ちません。
知識やスキル、経験値は増えます。が、ベテラン社員の心を育てるのであれば、管理職としての関わり方の重要ポイントは2つ。
まずは、相手のやり方、考え方、これまでの経験を尊重するということです。
これは相手に対する「関心」を表すことでもあります。とても重要なことで、ベテラン社員は立場や給与が変わったことや、自身の体力が以前に比べ落ちていることなど様々な原因で自尊心を失っている場合も多いからです。
これまでの体験を尊重されることにより、ベテラン社員の「自己肯定感」が上がります。
自己肯定感、つまり「自分がこの場所に居て良い」「役にたっている」と自信や自尊心を持てるということです。
健全な自己肯定感を感じている時は、仕事に対しても前向きになり、自信ややる気を持てるようになります。
2つ目のポイントは、相手の話を聴くということです。
積極的にコミュニケーションを取ろうとすると、「自分が話す」ことが必要だと捉えられがちですが、実は、話す前に聴くことが重要なのです。
特にやってはいけないことが、一方的に管理職が話し続けること・・・
例え正論であっても、相手の心には響かず、むしろ心を閉ざされてしまいます。
必要なのは、話を聴くことなのです。話を聴いてもらった相手は、「この人は自分を理解しようとしてくれる」と感じ、安心し、信頼し、その結果、心を開いてくれるからです。
ここまでの内容を読み、「そんなことわかっていた」と感じた方もいるかもしれません。
ですが、わかっているのと出来るのでは大きな違いです。
出来るためには訓練や工夫が必要なのです。頭でわかったからといって、すぐに実践できるような簡単なことではないのです。
まずは、管理職向けの研修を実施することから始めてはいかがでしょうか。
管理職個々人の力量や努力に任せるのではなく、会社全体で「会社組織の良い雰囲気づくり」やベテラン社員の「心の育成」にぜひ取り組んでみてください。
ますます意欲を持って、これまでの経験、スキルを持ち、会社に貢献してくれることでしょう。
当社のアクティブメンタル組織づくりでは、管理職が若手、ベテラン社員を問わず、相手の「心の成長」を促すような働きかけをする「仕組み」を社内に導入することをお勧めしています。
社員がいきいきと心身ともに健康で、熱心に働く会社は必ず成長します。
今日の提言
ベテラン社員だからこそ、これまでの経験、スキルを尊重し丁寧に話を聴く