専門コラム リーダーの役割は指示命令から支援激励へ変化する
先日、ある経営者向けの雑誌を発刊されている会社の編集長の方と話す機会がありました。
「若い人材の離職に悩んでいる経営者は多いですね。給与を上げたり、福利厚生を充実させるなどの対策はやっているのですが、それであまり効果が出ないと嘆いているのですよ。」と力説させていました。
コロナ禍により、若手社員が以前にも増して「安定」を求めるようになっているとはいえ、やはり給与や待遇などの外的な報酬だけでは、優秀な人材を会社に留めていくことは難しくなっているようです。
確かに給与や待遇が良くなれば、やる気が上がりこの職場で頑張ってみようという気持ちになりますが、それは一時的なものだからです。
ところが、いまだに多くの経営者が給与や待遇を変えることで社員の離職を防ごうとしてしまうのは、若手社員の「生々しい声」が耳に入っていないからかもしれません。
成長意欲が高い若手社員
キャリアに関する相談を受けたり、ストレスチェック後の職場環境改善のレポートを拝見する中で感じることは、「仕事を任せてもらいたい」「仕事を通じて成長したい」という若い人が増えているということです。
しかも仕事を任せる時に、これまでの指示命令をして任せても、彼らの「成長意欲」を満たすことは出来ません。
指示命令ではなく、まずは「質問する」ことが必要なのです。質問して、相手に「考えさせる」ことが重要なのです。
教えるのではなく、一緒に考える指導スタイル
一方的に「教える」のではなく、一緒に「考える」指導スタイルと言えるかもしれません。
これからの管理職、リーダー職は、育成において上からポジションで「仕事をさせる」「与える」方法では、若手はますますついてこないでしょう。
若手社員の「強み」を引き出すこと、指示ではなく支援するスタイルが求められていくのです。
このような指導方法を行うのは、自らが育成されてきたプロセスとは全く異なるため、多くの管理職やリーダーが戸惑うことになります。
ですが、新しく学べばよいのです。
自己開示により心理的安全性を目指す
そのためにまずお勧めなのが、成功体験を共有するのではなく、リーダー自らが失敗や苦手について「自己開示」することです。
結果、若手が安心して、自らの考えや意見を発言できる場をつくりだすということです。いわゆる「心理的に安全だと思える場」をリーダーが自ら作っていくということです。そして、しだいに信頼関係を構築していけば良いのです。