専門コラム 令和時代の人材育成に求められる経営者の重要思考
第108話: 令和時代の人材育成に求められる経営者の重要思考
いよいよ令和時代の幕開けです。これからますます、中小企業経営者が昭和の価値観、仕事観にこだわっていては若者はついてきません。また、シニア世代も昭和の仕事観で続けていても幸せにならない時代がやってきます。今後は、年齢やキャリア、立場に関係なく、「なぜ働くのか」「どう働くのか」そして、「どういう働き方ならば、自分は幸せになれるのか」が一人ひとりの働き手に問われていくのです。
がむしゃらに働いても賃金が上がらない、それならば、もっと自分らしくワークライフバランスを重視して働きたい、そして副業など、自分のキャリアについては会社で仕事をする以外に貪欲に考えたいという様々な仕事観を持った人材を生かしていく必要があるのです。
このような時代に、社員がイキイキと働く職場環境づくりはますます大事になってきます。ただし、高い給与や地位を与えるだけでは社員を引き留めることは出来ません。今こそ経営者が知っておくべき、社員が定着し、成長する人材育成に欠かせない3つの視点についてお伝えします。
物質的な充実から確実に心の充足へ
「自分は何ができるか」を問われる時代へ
心の弱さを見つめなおす
物質的な充実から確実に心の充足へ
前述したように、給与やポジションを与えるだけでは社員は定着しません。そもそも、そのような外的動機付けで入社した社員は、より良い待遇が提示されれば、すぐにも転職してしまうでしょう。
中小企業にこそ、優秀な人材を採用するのではなく、優秀な人材に育てるという視点が欠かせないのです。そのためにも仕事を通じて、個々人の心の充足を満たすことが重要です。会社は、育成という名のもと、知識やスキルの向上だけではなく、精神的にも成長を実感できる機会や場を提供すべきなのです。
「自分は何ができるか」を問われる
AIと共存する時代になり、問われるのは「自分は何ができるか」ということでしょう。そして、「自分は何のために存在するのか。仕事を通じて何を実現するのか。」ということです。
経営者のあなたは、自社の社員に向かって、仕事を通じて何を実現して欲しいのか、そして、どう成長して欲しいのかを自らの言葉で伝えているでしょうか。
というのも、与えられた目の前の仕事をこなすことしかしてこなかった社員は、これからの時代、この問いにどう答えをみつけるべきなのかわからないからです。
しかし、考え方を変えればこれはチャンスでもあります。今こそトップが自らの言葉で、経営理念、ビジョン、成長したあるべき姿を社員に伝え続けてください。
心の弱さを見つめなおす
ここまで、今後は社員ひとり一人の主観的な幸福感が問われる時代となっていくと述べてきました。一方で、多様性が広がっていく中で、「自分と違う」価値観や行動、思考を持つ人間と一緒に働くことが当たり前になっていくわけです。それをポジティブに受け取れるか、あるいは、自分と違うことで排他的になってしまうか、それも個々人の価値観、生き方として選べる時代でもあります。
多様性を楽しめる余裕があればよいのですが、自分と違うことがイコール自分は否定されたと感じたり、例えばSNSなどのコミュニティという仲間内だけで、等身大以上の自分を演じてきた場合は、仲間との違いや、たった一度の失敗がひどくみじめに感じ立ち直れなくなってしまうこともあります。
そのような自身の心の弱点を理解した上で、変化や逆境から素早く立ち直るスキルがあるかないかで、その後のキャリア、生活、人生が大きく変わってしまう時代でもあると考えます。
会社とう場は、社員が自らの心の弱さを見つめなおし、心を成長させ得る場であることも求められていくのです。
まとめ
これからの時代、職場、仕事が魅力的でないと人は定着しません。そして、仕事や仲間を通じて、心が成長している実感が持てる会社こそが、優秀な人材に恵まれるのです。これは、経営者にとっては他社との違いを打ち出し、自社の魅力を社員に届けるチャンスでもあります。
開催予定のセミナーがあります。
2019年6月7日(金)・7月19日(金)
社員のやる気と自発性を引き出す 「人材育成」と「組織風土づくり」の課題解決セミナー。詳細はこちら。
今週の提言
令和時代の人材育成は「心の育成」が重要キーワード
人材育成、組織風土づくりに関する情報を提供しております。最新コラムを見逃さないよう、メルマガにご登録ください。ご登録はこちらから。