専門コラム 「若手育成」が上手い会社が実施している上司の関わり方

第100話: 「若手育成」が上手い会社が実施している上司の関わり方
イキイキ働く社員が育ち、働きがいのある職場環境づくり、活気ある組織風土づくりを専門に行っている当社には、日ごろより人材育成に対する意識が高く、すでになんらかの取り組みを行っている企業の社長さんから様々な相談をお受けしております。
先日は、コンサルティングの終了時に、あらためてアクティブメンタル活動の導入当時の課題と、そして改善点について振り返りを行いました。
導入当時、その企業では、シェア拡大のために、新規の市場開発が必須という状況でした。扱う製品には自信もあり、既存市場では高い評価を受けているため、その製品を営業することには誇りを感じていたのですが、新規市場開拓において、必ずしも、これまでの成功体験が通じない場合もあるという懸念ももっていたのです。そして、そのチャレンジを楽しめるかどうか、プレッシャーと感じてしまうのかで社員の意識に大きな差が出てしまい、結果が大きく変わっていくのではないかという危機感をもっていらしたのです。
実はこのような場合こそ、チームワークが非常に大切です。しかも、上司、そして同僚間で情緒的な関わりを含めた積極的なコミュニケーションが持てるかどうかがカギとなります。会社としても正念場というときに、プレッシャーを感じ失敗続きで社内に居場所を失い、自信喪失し会社を辞めるという選択をする社員が増えることを、どうしても避けなければならないのです。
特に、今、若手社員はすぐに「転職すればなんとかなる」と考えてしまいがちです。もちろん転職の全てを否定するつもりはありませんが、若手社員が定着し、自社で育つために、上司はどんな関わりをすればよいのでしょうか。若手部下の育成に欠かせない上司の関わり方についてお伝えします。
事実と感情を分けて考え、事実の捉え方を変えてみる
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新しい顧客へのプレゼンがうまく行かず、商品が売れなかったという出来事に遭遇すると、気分がへこみ、落ち込みます。あえて出来事と書いたのにはワケがあり、それは売れなかったということは事実だからです。その事実により、失敗した、自分にはできない、とネガティブな感情が沸き起こっているのです。
この場合、同じ出来事を経験しても、自分に対してネガティブな感情を持たない人もいます。つまり、相手が悪かった、たまたま理解されなかったと捉える人もいるということです。
実際に、成果が出せなかったというアウトプットに対して、落ち込むことは自然なことではありますが、このような部下の気持ちをなだめ、改善することが上司の役割ではありません。上司はカウンセラーになる必要はないのです。部下が感じたネガティブな感情に対して、「そんな風に考えるべきではない」という必要もないのです。
では、何をすべきなのか。部下の感情を否定せずに、まずは、「出来事は何なのか」と「その時、沸き起こった感情は何なのか」を分けることが必要なのです。「事実は何か」を冷静に見極めるサポートをするべきなのです。
事実をどうとらえるのかを検証する
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次に必要な関わりとは、その事実をどう捉えるかを一緒に検討するということです。
出来事自体を変えることはできませんし、変える必要もないのですが、成果が出せなかった イコール 自分には無理だ、自信をもって行動できないと考えてしまう部下に対し、一度、立ち止まって「本当に無理なのか」というのを一緒に考えることが重要なのです。
失敗したことは変わらないものの、その体験を活かして、次回は他のアプローチでやってみるとアウトプットが変わるに違いないと部下をエンパワー(勇気づけ)することなのです。
新しい認知を獲得して行動に移せるよう促す
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最後に、部下が新しい認知、「前回は失敗したけれど今回は別のやり方でチャレンジしてみよう。」を獲得し、次回の新しいアプローチとしてどんなことが考えられるのか、どう行動すればよいのかを指導するということです。
これらの関わりを理解し実践することはなかなか出来ません。上司自身が、若手育成というのを全く理解していないばかりか、叱咤激励という時代遅れのアプローチのみに終わるなど、機能していない場合が非常に多くあります。
育成法を理解し、会社としての方針もなければ、実際にどうしたらよいのかわからないからです。正解がわからない中でもがいていては、上司自身も疲弊してしまいます。
弊社では、誰もがシンプルに出来るように仕組みにする導入方法についてセミナーでご紹介しています。若手育成についてより理解を深めたいと思われた方は、ぜひ弊社のセミナーにお申し込みください。
今週の提言
一方的な指導や叱咤激励は時代遅れであることも気づかない
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