専門コラム 中小企業は今後シニア社員が活躍する土壌をどう作るべきか 働きがい・モチベーション向上

シニア社員のマインド転換と重要資産の活用を急げ

195話: 中小企業は今後シニア社員が活躍する土壌をどう作るべきか

 

当社では、中小企業の経営者から人材育成についてご相談をお受けするだけではなく、働く個人の方のキャリア相談もお受けしています。

 

キャリア相談というのは、今後、自分のキャリアをどう発展させていったらよいのかというご相談です。相談者がシニアの場合は、人生後半のキャリアをますます強みを活かして伸ばしていきたい方もいれば、まるっきり別のキャリアを選択してライフワークとして取り組みたいという方もいらっしゃいます。

 

というのも、人生100年時代と言われる今、キャリアは「会社から与えられるもの」ではなく、「自ら考え作りあげていくもの」というキャリアオーナーシップという考えを持ち、主体的に行動することが求められているからです。

 

とはいえ、キャリアオーナーシップの考えが日本に定着するにはまだまだ時間が必要とは思います。

 

ですが、中小企業としては、若手の採用が難しい、採用した若手社員がすぐに辞めてしまうという現実を前に、今、自社で活躍しているシニア世代を育成していくことは、経営上、欠かせない重要な視点です。

 

では、シニア世代の育成のために何を行うべきかについて、主にマインドやキャリア開発という観点で3つほどお伝えします。

 

キャリアの考え方・捉え方を変える

最も大切なことは、キャリアに対する考え方を変えてもらうということです。これまでは、キャリアは賃金や立場も含め「上昇していくもの」と捉えているものですが、シニア世代の場合は「上昇」というより、「水平」あるいは「下降」ということになります。

 

「下降」というとネガティブなイメージが先行しがちのため、このキャリアに対するマインド変換は、会社として十分な時間や機会をつくり慎重に行う必要があります。それを怠ると、「やる気のないシニア世代」が増え、彼らをマネジメントしなければならない「次世代の社員が疲弊する」というまさに悪循環を生みだすことになります。

 

人間関係調整力・ネットワーキング力の発揮

シニア世代に、今後、真に求められるのは、人間関係調整力やネットワーキングの力だと考えています。

 

新しい能力や知識を得てもらうのではなく、業務の遂行にあたり、社内外の人間関係を調整したり、時には交渉するという力です。また、シニア世代がこれまでのキャリアで培った社内外の人脈も宝の宝庫です。このネットワーキングを次世代に上手く継承していくこと、そのための「機会」を自社で提供することが重要です。

 

資産を活用し育成する力

シニア世代の中は、自分がいかに多くの「資産」を持っているのかに気づいていない方が多くいます。ここでいう「資産」というのは、これまでのキャリアで得た知識や経験、人脈などです。

 

今一度、シニア社員は自分のキャリアの棚卸しをすべきであり、会社はそれを後押しして、次世代を育成するために多いに活用してもらう「機会」を提供すべきなのです。

 

さて、ここまでシニア世代に活躍してもらうために、どんなことをすべきか、会社はどう関わるべきかをお伝えしてきました。

 

ですが、最も難しいのは、「これらのことをどうやってやるのか」という方法論ではないかと思います。

 

そのためには、1on1 ミーティングを導入、活用して、その中でシニア社員が自らのキャリアについて振り返り、考える機会をつくるのが良いと考えています。そして、キャリアを棚卸してもらい、これから会社に何を貢献できるのかを再確認してもらうことです。

 

当社が導入をお勧めしている「アクティブメンタル」組織づくりの中では、シニア社員の育成、特に心の育成についても社内の仕組みとして作ることをご提案しています。

 

中小企業においいては、これからますます、自社のシニア社員にどう活躍してもらうのか、経営者として自ら戦略を持ち関与していくことができるのか、それはまさに今後の事業継続や発展のために欠かせないことなのです。

 

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