専門コラム ポストコロナを目指し社長はメッセージをどう伝えるべきか
第182話: ポストコロナを目指し社長はメッセージをどう伝えるべきか
新型コロナウィルス感染の第三派の流行が懸念されている中、企業はこれまで以上に、ウィズコロナ時代にどうやって生き残るべきかを真剣に問われるようになっています。
その影響は企業で働く社員にも大きく及び、働く人々のモチベーションはどう変化してきているのでしょうか。
先月、株式会社JTBコミュニケーションデザインが発表した「ウィズコロナ時代のモチベーション調査」によると、「がんばろうと思う人」や、「コロナ禍以前よりやる気が上がった人」は、いずれも東日本大震災後の調査より低い結果になったというのです。
ワクチン開発などの期待もありますが、まだまだ不安や混乱の中で、会社の業績の悪化」や、それに伴う自身の「雇用・経済への不安」が大きく渦巻いているわけですから、確かな明るい未来を描けない現状にモチベーションを高くもって仕事に邁進するというのは、よほどの動機付けが必要ということでしょう。
一方で、この調査では、がんばろうというモチベーションや意欲が高い人は、コロナ渦において、あらためて自分自身の仕事の意義を感じ、会社への誇りを持ち、自社のビジョンを実現したいという気持ちと大きく関係しているとも指摘しています。
まさに今こそ、ポストコロナでの事業継続、そして拡大を目指すならなおのこと、社長は社員の「働きがい」や「モチベーション向上」にしっかりと目を向け対策を打つべきなのです。
社員が、仕事の意義、会社の存在意義を感じるにはどうしたらよいのでしょうか。ひとり一人が仕事に誇りを持ち、顧客や社会に貢献することに喜びを感じるためには、社長は何をすべきなのでしょうか。
トップのメッセージは大変重要な意味を持つのですが、多くの社長が間違った手法をとりがちなのです。今回のコラムでは、トップがメッセージを発する際に、忘れてはならない重要点をお伝えします。
ネガティブな状況をポジティブ変換
今、大企業でさえ、現在の経済状況、そして感染状況、そして働き方も大きく変わることを求められている中で、企業は様々な「変化」を強いられています。社長はまさしくその「変化」をいつ行うべきかという「大きな決断」を求められています。今回のトップメッセージは、コロナによる業績悪化や不振、規模の縮小などを背景に、ある意味、「変化」に伴う痛みがあることを社員に伝えなければならないということです。
このようなネガティブな内容をどう言葉にすべきなのか。そこには細心の工夫が必要なのです。ネガティブな情報は伝えただけで終わりにしてはいけません。必ず、その後にポジティブな内容に変換することが重要なのです。
この厳しい状況をどう捉えているのか、変化の後に何が待ち受けているのか、その後の「未来像」をしっかりとポジティブな言葉で伝えてください。
社長の想いを率直に。未来を語る
そして、あらためて自社のミッション、ビジョンを熱く語ってください。ポストコロナ時代は、コロナ前の時代とは様変わりするに違いありません。もうコロナ前に戻ることはないとも言われています。
であるからこそ、ポストコロナにおいて、自社はどう社会に貢献するのか、どう顧客を喜ばせるのかを伝えるのです。社員ひとり一人の仕事が、どう役にたるのか、どんな意義を持っているのかを自らの言葉で語るのです。綺麗な文章である必要はなく、社長のパッションが伝わることが重要なのです。
伝えっぱなしにしない。社内リーダーを積極的に活用する
トップメッセージは、1度、インパクトのあるメッセージを伝えて終わりではありません。何度も繰り返し伝えるべきことでもあります。
そのためには、社内にこれらのメッセージを力強く伝えるリーダーを作ると良いでしょう。トップメッセージを具現化するプロジェクトチームを発足し、次世代の幹部候補生を中心に、社員を巻き込んでいくのです。立場上、彼らは見えているものが社長と全く同じではありませんが、「方向」と「熱量」が同じであれば良いのです。
トップメッセージは、タイミングも重要です。ポストコロナを生き抜くために、今こそスピード感を持って、社員の働きがい、モチベーションを引き出す力強いメッセージの発信を行ってください。
参考:
「ウィズコロナ時代のモチベーション調査」
(株式会社JTBコミュニケーションデザイン)
https://www.jtbcom.co.jp/article/hr/1086.html
今週の提言
トップペッセージは、ポジティブ変換、未来像、そして繰り返しが重要