専門コラム ストレス知らずの職場は人間関係が決め手!成功例で学ぶ改善策

「ストレスチェックの結果、高ストレス者が年々増えている」
「職場内の雰囲気が悪化しており、社員もギスギスしているようだ」とお感じではありませんか。
先日、ある企業の若手からベテランまで数十名の方と面接をする機会がありました。
その経験を通じて、ストレスを緩和するためにどうしたらよいかあらためえて考えてみました。
面接を実施した企業について詳しくは守秘義務の関係で業種などはお伝えできません。ただ業務の性質上、顧客対応や数字管理など常に緊張感を強いられることが多い職場であり、業務量も多い。
どちらかというと、ストレスを感じやすい職場であることは間違いないのですが、面接の中で、その辛さを感じている方はごくごくわずかでした。
反対に、「仕事がやりやすい」と感じている方が多いのです。
全ての方の面接記録を見直し、その要因を分析してみるとわかってきたことがあります。
それは職場の「たてよこ」の人間関係が良好ということです。
具体的には
・相談できる仲間や愚痴をいえる同期がいる
・仕事を教えてくれる先輩がいる
・困った時は上司が必要なフォローをしてくれる
という環境で働かれているのです。
ストレスを軽減する要因とは
米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が作成した職業性ストレスモデルというのがあります。
このストレスモデルでは、職場におけるストレスの要因は、仕事上の要因(仕事量や質、人間関係、裁量があるかないか等)に加え、個人の性格や価値観などの個人的要因や、仕事以外の要因があると示しています。
これらが重なり、放置されることでストレスに関連した疾患にり患したり、生産性が低下していきます。
そうならないための緩和要因として挙げられているのが、上司・同僚・家族からの支援です。
つまり、この職場では、仕事量が多い、緊張を強いられる仕事であるというストレス環境にありながらも、上司や同僚からのサポートがもらえているという「ストレスを軽減させるもの」が十分に作用していると考えられるわけです。
実際に面接の中では、こちらが驚くほど「人間関係は特に問題ない」と言われる方が多いのが印象的でした。
具体的に何をすればよいのか
職場の風通しをよくし、良好な関係を築くために実際に何をすればよいのでしょう。
最近は、職場で1on1を実施するなど、上下関係のコミュニケーションを活発にする工夫は高まっています。
この試みも上司との関係が良好になるという効果があれば、ストレス緩和要因となるわけです。
さらに、上下関係だけではなく、同僚や同期との横との関係が良好であれば、なおストレス緩和としての効果が望まれる
でしょう。
同僚との「横の関係」が良好になるような工夫は出来ているでしょうか。
例えば
・先輩から教えてもらう社内制度をつくる(いわゆるメンター制度)
・あるひとつの議題について様々な立場からディスカッションできる機会をつくる(ラウンドテーブル)
・社内の気楽なランチ会やレクリエーションなどの機会を増やす
など、社内議論や交流を通じて、顔見知りを増やすことから始めても良いのではないでしょうか。
身近なところに様々なアイディアは眠っているはずです。
人間関係はしっかりとメンテナンスしないと錆びついてしまいます。
組織が崩壊する前に、ストレスによる離脱者が増えない前に、今一度、出来ることから始めることをお勧めします。
今日の提言
人間関係が職場を救う