専門コラム パワハラのグレーゾーンに潜む危険への理解と対策方法

普段、企業からの研修依頼を受けることがありまる一方で、社員の方々からハラスメントに関する相談をされることもあります。
その中で、最近、特に感じているのが「パワハラのグレーゾーン」に関する相談です。
というのも、ハラスメントに関する社会の厳しい風潮と正しい理解が進んだせいか、企業でもハラスメントに関する研修などはしっかりと行っているという印象を持っています。
そのため、管理職側も意識するようになり、自らの発言に気を付けているのですね。
それは大変良いことなのですが、「100%黒とはいえないものの、そのやり方、言い方はグレーではないのか。」と思える発言が増えているような気がするのです。
「パワハラと訴えられないため、あえてグレーな言い方をしている感じがする」とは、言われた側の社員の多くが口にする言葉です。
確かに管理職の言動に、人格否定などの強い言葉はありません。ですが、管理側として安全配慮義務に則り的確なマネジメントをしているかどうかは疑問がある方もいます。
というのは、グレーな言動が社員を追い詰め、メンタル不調を引き起こしている場合も多いからです。
その結果、生産性の低下を引き越しているのも事実であり、会社としては放置すべきではないと考えています。
例えば、以下のような言動です。
「それくらい自分で考えて動けないと、この先やっていけないよ。」
一見、成長を促しているようでありながら、突き放す印象を与え、相談や報連相をしにくくさせてしまう可能性があります。特に経験が浅い社員にとっては自己否定につながる危険性もあります。
「期待してるから厳しく言ってるんだ。なんでこんな簡単なミスをするのか理解できないよ。」
期待という前置きがあるものの、否定的な言葉が続くと精神的な圧力になります。
「あのさあ~。その案は現場を知らない人の考えだね。現実見えてる?」
アイデアへの否定が強く、発言しにくい空気を生み、委縮や不信感につながります。
そもそもはっきりとしたパワハラには該当せずとも、ギスギスしたコミュニケーションが飛び交っている職場は働きにくく、人も定着しにくいものです。
人間関係も良いとは言えず、職場の一体感や生産性向上とは程遠いとも言えるでしょう。
もし、ギスギスした人間関係が職場全体の雰囲気や生産性に影響しているとお感じならば、組織風土づくりに着手することをお勧めします。
何も最初から組織風土「改革」を難しく考える必要はありません。
まずは、管理職に対する安全配慮義務を徹底する研修や情報共有、職場の人間関係やコミュニケーションが良好になるような社内イベント開催からでも着手してみてはどうでしょうか。
ハラスメントのグレージーンは、実際にその職場で働いていない人間からは見えにくいものです。
しかしながら、放置しておくと、組織全体に悪影響を及ぼすことは間違いなく、結果、生産性や業績悪化を導く可能性が大きいことを経営陣はしっかりと理解しておくことが必要なのです。
今日の提言
社員の心を追い詰めるパワハラ「グレーゾーン」の言動に要注意!