専門コラム 「ハラスメント=リスク回避」だけでは不十分。ハラスメント対策が業績アップにつながる理由

近年、職場のハラスメントに関する報道が相次ぎ、企業の対応がより厳しく問われるようになっています。
カスタマーハラスメント(カスハラ)や就活ハラスメント(就活ハラ)といった新たな問題もクローズアップされ、厚生労働省による企業の措置義務の対象範囲も今後、より広がっていく傾向にあります。
こうした社会の動きの中で、改めて強く感じるのは、中小企業におけるハラスメント対策の鍵は、経営者の意識にかかっているということです。
「義務だから仕方なくやる」のか、「会社にとって重要な経営施策」として捉えるのか。
その姿勢の違いが、社内の風土や業績を大きく左右するのです。
「やらされ感」が社内に伝染すると、形だけの対策に
中小企業の社長が「義務だからやる」というスタンスでハラスメント対策に取り組んでいると、その空気感は社員にも伝わってしまいます。
人事や総務の担当者からは、「業務が増えて大変」「対応マニュアルはあるが、実態が伴っ
ていない」といった声が出てくることも。
その結果、ハラスメントを未然に防ぐ仕組みが形骸化し、「見て見ぬふり」が横行してしまうという事態になりかねません。
ハラスメント対策は「失うリスク」ではなく「得られる成果」へ
一方で、社長自らがハラスメントの本質的リスクを理解し、「社員が安心して働ける職場づくり」こそが企業の未来を左右すると捉えている会社では、取り組みの質がまったく違います。
具体的には、
・生産性の向上
・優秀人材の定着
・従業員の心身の健康による業績アップ
といったポジティブな成果が生まれているのです。
ハラスメント対策は「コスト」ではなく「投資」なのです。この視点を持てるかどうかが、これからの中小企業経営には欠かせません。
ハラスメントは「個人間の問題」ではない
また、実際に、社員からの相談を受ける中でよく耳にするのが、
「自信をなくした」
「仕事に集中できない」
「会社への信頼が薄れた」
といった声です。
これは、単に当人の問題ではなく、周囲の社員やチーム全体の士気にも影響を及ぼすのが現実です。
にもかかわらず、いまだに、ある特定の上司からのパワハラが、「個人の感情のもつれだから両者で話し合えばいい」と、安易に済まされてしまうケースも少なくありません。
このような対応では、会社そのものの信頼性が問われる時代です。
「経営施策」としてのハラスメント予防を
ハラスメントのない職場とは、社員が自らの力を安心して発揮できる場所です。
その結果として、業績向上・離職率の低下・採用力アップという形で企業に跳ね返ってきます。
これからの時代、社長がハラスメント対策に本気で取り組んでいる企業こそ、人が辞めない強い組織になっていくでしょう。
「ハラスメント予防は、経営者が先頭に立って取り組むべき経営課題である」この視点を持つかどうかが、会社の未来を左右する分かれ道になるのです。
御社では、ハラスメント対策はしっかりできていますか。トップが率先して取り組んでいますか。
ハラスメントの相談を受けたら、組織全体に関わる問題と受け止め、まずは真摯に相談者の声に耳を傾けてください。
全てのハラスメント対策の第一歩がそこから始めるのです。
今日の提言
「ハラスメント予防は最大の経営戦略」

