専門コラム メンタル不調者の連鎖を防ぐ復職者への適切な対応とは。
心理カウンセラーとして、復職準備中の本人や、その上司にあたる方から相談を受けることが度々あります。
メンタルヘルス不調となり休職した後の復職者を迎えるにあたり、会社や上司側に求められる3つの重要ポイントについて紹介します。
あたたかく迎える準備をする
まず、復職者の心理をよく理解することです。
復職される方の多くが、久しぶりに出社することへの不安を抱いています。
休職中とは生活リズムが異なるわけですし、時間通りに出社して、求められる業務を行うための集中力も求められます。
心理的、体力的に大丈夫だろうかと不安になるのは自然なことではあります。
復職後は、仕事が以前のように出来ないことへの焦りや罪悪感があり、その分を急いで挽回しようと頑張りすぎてしまうこともあります。
そのため、特に復職直後は体調が不安定になることも多いものです。
受け入れる側としては、そのような復職者の心理状態を把握した上で、あたたかく迎えることが必要です。
まずは、無事に復職できたことを一緒に喜び、共に頑張っていこうなどの声かけをすることが重要になるでしょう。
人事や産業医と連携して対応する
ただ、復職したものの、体調が不安定になってしまい、休みがちとなる場合もあります。
最初はあまり負荷をかけずに仕事を依頼していたとしても、予期せぬ休みが続いてしまうと、仕事の予定がたたなくなり、チーム全体として仕事の進め方の調整が求められる場合もあります。
そのような場合は、社内外の産業医ほか、メンタルヘルスの専門家に相談して対応することをお勧めします。
休みがちな状況で、どのくらいの仕事を任せてよいのか、残業は依頼できないのかなど判断が難しい場合は、決して一人で抱え込まずに相談すると良いでしょう。
復職者の再不調のサインに気づいたら早めに声かけを行うことも重要です。
復職者には無理させないよう十分な配慮を行ってください。
本人以外の社員のフォローを行う
復職者が休みがちになり、再度休職するという選択肢を取った場合は、本人以外のチームメンバーに負担が課されることになります。
復職者本人だけではなく、まわりの社員への声がけや業務量の調整は、早めに配慮をすることが必要となります。
このように復職者への配慮は多岐にわたることになり、その上、個々人の体調や職場環境により求められる対応が異なってきます。
メンタルヘルス対策は、中小企業であればなおさら「予防」が肝心です。
まずは、たった一人の休職者も出さない目標を掲げて取り組み始めることをお勧めします。