専門コラム ハラスメントを容認、放置した企業の末路が恐ろしい
2023年に続き、世間をにぎわせているのが企業のハラスメント問題です。
昨年は、特にエンタメ業界におけるハラスメントが話題になりました。おそらく複数の企業のハラスメント事案や、記者会見などが頭に浮かんだん方も多いのではないでしょうか。
華やかなエンタメ業界、夢や希望を与えてくれるはずのエンタメのプロフェッショナルがハラスメント問題で話題になるというのは社会に与える影響は大きかったはずです。
同時に、まだまだ表に出ていないことが隠されているに違いないとも思わされますね。
ところで、ハラスメントをなくすためにもっとも重要なことは何だと思いますか。
このコラムでも何度かお伝えしていますが、それは、トップの意識です。態度です。考え方にあります。
ハラスメントに関して、それが企業や社員にどれだけの悪影響を与えるかを理解しているのはもちろんですが、ハラスメントは、決して個人の問題ではないと、どれだけの社長が理解しているでしょうか。
個人の問題だけではなく、組織全体の問題なのですね。
もちろん、ハラスメント言動をする行為者には指導や処分が必要ですが、それだけではなく、行為者を放置していた組織に問題があるのです。
ハラスメント行為を放置しつづけている組織とはどんな組織なのでしょうか。
これまでハラスメント対策に何等かの形で関わらせていただいた経験から、その原因が3つほどあると考えています。
<開き直っている組織>
まずひとつ目。
それは、ハラスメントが日常的に行われており、それが自社の文化であり育成方法であると開き直っている組織。
これまで厳しい指導があったからこそ、会社がここまで伸びてきたのだと自負しているような組織。
実際に短期間で大きな成長を手にした企業もありますが、これでは時代の流れから大きく逸脱しています。
人材が辞めてしまう、メンタルダウンを引き起こしてしまうなど様々な課題を突き付けられ、今後のさらなる成長は難しい組織と言えるでしょう。
<行為者を庇ってしまう組織>
2つ目は、行為者(加害者)を庇ってしまう組織です。
行為者がベテラン社員であり、これまで自社の飛躍のために尽力してくれたなどの功績がある場合、社長自ら、行為者をかばってしまう組織があります。
オーナー社長として、経営に苦しんだ時、悩んだ時も、そのベテラン社員の頑張りのお陰で、「これまでこれたのだ」と思っています。
社長の意識がこの状況である限りは、結果としてハラスメントを容認していることになっています。
先日は、経営者であった父親が急に社長を降りることになり、その後を継いだ娘さんから相談がありました。
父親の時代に父を支えてきたあるベテラン社員の言動のせいで、若い優秀な社員が辞めていくのだそうです。辞める時には皆、不平や不満を告げて去っていくと悩まれていました。
これも時代の変化でもありますが、パワハラに近い指導を容認してきたツケがまわってきたということでしょう。
<管理職の間違った対応>
3つ目は、非常に残念なことなのですが、ハラスメントを相談された管理職の間違った対処により、結果的にハラスメントが放置されているという組織です。
具体的に説明しましょう。
例えば、AさんがB上司からパラハラにあったことを、C上司に相談したとします。C上司はB上司の上役でもあるので、相談された内容をAさんに確認もせず、B上司に「パワハラを辞めるように」と指導してしまうのです。
C上司は、自分は正しいことをしているという認識なのですが、このような場合往々にして起きてしまうのが、報復のような形で、B上司によるAさんへのパワハラがより激しくなってしまうことなのです。
その結果、Aさんは、「社内に相談すると状況が悪化する。今後は誰にも相談しない。」とパワハラの状況は放置されていくのです。
恐ろしいですよね。
これらのハラスメントを放置した企業は、今後は社員の離職や流出に直面するだけではなく、社会的な制裁を受けることになるでしょう。
ハラスメント対策は予防研修だけでは防ぐことができないのです。
企業独自のカルチャーや社長の認識を変えない限り、目に見えない形でハラスメントが放置されていくのです。
その後、待っているのは組織の崩壊です。
ハラスメント対策についてのご相談はぜひお問い合わせください。
お問い合わせはこちら。
今日の提言
ハラスメントへの間違った対応は、組織を崩壊させる第一歩である