専門コラム 小さい会社がパワハラを絶対に見逃してはいけない理由
「複数の社員から、ある1人のベテラン社員のパワハラ言動を相談されることが増えているんです。
人事の担当者が、相談を受けているのですが、会社としては見過ごすことが出来ない一方で、ベテラン社員は長く勤めているし何より、成果を出しているんですよ。」
関東地区の製造業の社長からのご相談です。
「だから、彼のことを表立って処分するようなことは出来ないと思っており、頭を抱えているのです。
ああいう人なんだから仕方ないと開き直って、最小限のつきあいだけをすれば良いからと、まわりの社員には伝えているんですけどね。」と続きます。
失礼ですが、聞きながら中小企業あるある案件だなと感じました。
そして、社長がこのような考えで対応している限り、この会社の成長・発展は難しいだろうと思いました。
パワーハラスメントで、多くの経営者が間違うのが、「個人の問題」に過ぎないという認識でいること。
ベテラン社員、仮にAさんとしましょう。
Aさんの性格だから、Aさんは成果を出しているからまわりが我慢すればよいんだ・・・
これは、この問題がAさんと、まわりの社員との「人間関係」として考えているということになります。
この対応法には、少なくとも社長が知っておくべき2つの重要な視点があります。
1点目は、その対応をまわりの社員が見ているということ。
「成果を出しているAさんの言動を見逃して、他の社員の辛さを蔑ろにしている」という事実は、今現在、Aさんにパラハラ言動を受けていない社員にとっても、大きな影響を及ぼしています。
つまり、会社は、社長はどんな考えで会社経営をやっているのか
社員を心から大切に思っているのか
儲かればよいと考えているのか・・・・
全て見透かされてしまいます。
そして、その会社の方針、社長の言動に見切りをつけて、会社を去っていくのはほぼ優秀な社員です。
優秀であれば他でも就職口があるからです。
このように、たった一人のAさんのパワハラ言動を見逃すことをきっかけに組織は崩壊していくのです。
もう1つは、会社としてきちんとしたリスク管理を行っていないということです。
2022年4月から、中小企業においてもパワーハラスメントに関する防止対策を講じることが義務化されています。
会社がきちんとした対応をすることが求められています。
やるべきことを怠った場合、会社の評判を落としたり、裁判沙汰になれば経済的損失を受けたり、ハラスメントによるメンタルダウンの社員が増加すれば生産性にも大きく影響します。
会社が小さければ小さいほど、打撃は大きいでしょう。
パワーハラスメントは「個人の人間関係の問題」ではありません。
「組織に多大な影響を与える会社全体の問題」なのです。
くれぐれも目先の利益だけに囚われずに、会社全体としてそして、会社の将来を見据えてパワハラ問題の解決に取り組んでください。
今後、会社がますます成長するか、繁栄するかがかかっているのです。
ハラスメント対策を何から始めればよいのか・・・
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今週の提言
社長は、パワハラは個人間の問題ではなく、組織に多大な影響を与える会社全体の問題という認識が不可欠