専門コラム 小さな会社が社員のメンタルダウンを防ぐために今すべきこと
以前、コンサルティングで関わっていたある組織では、経営陣が一丸となり組織改革に手をつけていました。
事業拡大のため、組織を大幅に変えなければならないとのことで、経営陣はこのプロジェクトに付きっ切りになっていました。
そんな中、ベテランの社員がメンタルダウンしてしまい休職に入ってしまいます。しかも、休職後は復帰せずに、そのまま退職すると決めたとのこと。
退職を決めた社員は、まわりからの信頼も厚く、仕事も出来た大変優秀な方でした。
しかも、組織改革が一段落ついた頃を見計らい彼女には、リーダーとしてチームを導いて欲しいとの期待があっただけに、組織にとっては大きな打撃でした。
社長が「大きな財産を失ってしまった」とうなだれていた様子を今でも思い出し
ます。
何がいけなかったのか
今後、どんな対策をしたらよいのか
残された社員にはどんなケアが必要なのか
専門家としてのアドバイスを求められ、現場に赴き、社員へのヒアリングや現状分析を行い、見えてきたことがあります。
それは、社員の心のケアや配慮が全くなされていなかったということです。
心のケアや配慮というのは、ストレスチェックをやるとか、休職の制度をつくるとか、そんなことではありません。
もっと基本的なことです。
日々の仕事の中で、社員に対する声がけ、特に称賛や承認、感謝などを伝えるという基本的なことが一切行われていなかったということでした。
職場で飛び交っていたのは、あれもこれもやって欲しいという仕事の依頼やなぜ時間内に出来ないのかという叱責だったのです。
それだけではありません。
言わなくてもわかっているよね・・・その程度は自分たちで考えて行動してという放置に近いものもありました。
事業拡大という言葉に踊らされ、経営陣が足元を見失っていたのです。
そして、事業拡大の前に、現事業を根底から支えてくれている社員に対する関与が手薄になっていたのでした。
ひと言でいうと、経営陣の怠慢です。
そもそも経営陣にメンタルヘルス対策の意義や重要性の認識がなく、人材や資金を投入する予定もないという小規模事業所は少なくありません。
何もメンタルヘルスの研修やストレスチェックを今すぐ実施しなさいとは言いません。
そのような対策を一切行っていない組織でも社員がイキイキと働いている企業はあるからです。
その違いは何か。
普段から、経営陣が社員の「心」をみているかどうか。
その違いなのです。
社員の心がどうすれば満たされるのかどうしたら喜んでもらえるのか
どうしたらイキイキとやりがいを持って会社に貢献してくれるのか・・・
そんなことを考えているのです。そして実践しています。
事業を拡大して組織が大きくなれば社員は幸せになるに違いないと決めつけていません。
日々の事業を支えてくれている社員の心を放置したりは決してしないのです。
自社でメンタルダウンの社員が減らない
その理由がわからない・・・
メンタルヘルス対策には興味があるがまずは人やお金をかけずに、出来ることから納得して始めたい
社員の心を見るとはどういうことなのか。
自分たちは何をすればよいのか。
もし少しでも興味を持たれたならぜひ一度、個別にご相談にください。お問い合わせはこちら。
今週の提言
事業拡大の影で疲弊する社員の「心」を見逃していないか