専門コラム ハラスメントは「人の問題」か「組織の問題」か。捉え方で会社の未来が変わる。
ハラスメント対策に関して関わらせていただいている企業様が数社ありますが、ハラスメント相談がここ数年で年々多くなっている企業があります。
「以前、声をあげられなかった従業員も相談できるようになっている。」
「ハラスメントに対する社員の意識が変わってきている」と安堵している場合ではないのですが、実はこのように考えてしまう人事トップが多いという実感を持っています。
確かに以前に比べて、泣き寝入りすることなく、問題点を会社に相談、報告できるようになってはいますが、相談数が多いということは、やはり職場内にハラスメントが起きているということには変わりありません。
もちろん、全ての相談内容がハラスメントにあたるものではないにしろ、相談件数が多いというのは、根本的な問題が解決していないということだからです。
企業側が、ハラスメント相談が窓口を設置し、相談された案件について対応し始めているということは大変良いことです。
だからこそ、次のステップとして、ハラスメントを徹底的に「予防する」ということを年頭に対策を練るべきなのです。
ハラスメント予防対策でよくある間違い
「ハラスメントを予防する」ことを掲げてハラスメント対策を行う場合、決して間違えてはいけないのが、「ハラスメントは人の問題である」と捉えてしまうことなのです。
ハラスメント加害者が悪い
被害を受ける相手にも問題があるに違いない
そういう視点では、企業のハラスメント予防は難しいでしょう。なぜなら、人の問題であると考えている以上、人を配置転換させるなど、人の問題として解決しようとしてしまうからです。
一方、ハラスメントを「組織の問題」と捉えた場合はどうでしょうか。
ハラスメント言動が許されてしまう、見逃されてしまう組織の風土があるのかもしれません。
コミュニケーションが十分に取れていないという課題があるのかもしれません。
このような根本原因をしっかりと捉えたうえでハラスメント予防対策をしっかりと行う必要があります。
ハラスメントかどうかを判断するのではなく、ハラスメントが起きやすい組織風土になっていないかという判断をすべきなのです。
そのためには、組織全体の現状確認と課題のあぶり出しが必要になってきます。
社内アンケートやヒアリングをしっかりと行う
ハラスメントだけではなく、人材育成やコミュニケーションの点で、自社が抱える問題点は
ないかどうかを炙り出す・・
このような取り組みが必要となってくるのです。
ハラスメント予防を行っていくにあたり、アンケートやヒアリングを行ったところ、ハラスメントが起きやすいのが、企業内のベテラン社員と若手社員のコミュニケーション不足であったという事例もあります。
また、新人への教育が十分になされていないため、現場で新人社員への指導が叱責になってしまっていたという企業もあります。
ハラスメントが起きてしまう理由は組織全体の課題として見えにくい場合があるのです。
そのことを十分に理解した上で、中期的なハラスメント対策を行うべきなのです。
ハラスメント窓口の設置や研修の導入だけでは解決できない課題が浮かび上がってくることがあるのです。
ハラスメント対策についてのご相談はぜひお問い合わせください。
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