専門コラム 社長が知っておくべきストレスチェック結果活用の留意点
第130話:社長が知っておくべきストレスチェック結果活用の留意点
今年もストレスチェックの結果、集団分析の結果をもとに、その後の職場環境改善に関するご相談を受ける機会が多くなっています。
ストレスチェックの集団分析というのは、個々人のストレスチェックの結果をまとめて、それらの個人が所属する集団、組織のストレスの状況や傾向などを知ることが出来ます。
分析の結果は、他部署との比較をはじめ可視化されるため、ある意味、その組織における「成績表」のようになってしまいます。
その結果の意味を十分に知らずに、数字だけで判断してしまうと様々な誤解を産むこともあります。例えば、ある部署で、上司のサポートが低いという結果が出た場合、それが、当該上司のマネジメントが悪いという評価にしてはいけないということです。
もちろん、数字が表す、その部署の傾向というのは見て取れますが、その数字でさえも、ストレスチェック受検者の主観的なものでもあるという理解をしておく必要があるのです。
集団分析の結果は、たくさんの職場環境改善のヒントを与えてはくれますが、数字を鵜呑みにするのではなく、今後のよりよい職場づくりに向けて、社内でディスカッションするツールとするのが良いのです。
さて、一歩進んで、集団分析の結果を受けて、その後、どう改善に活かしていったらよいのか。それがまさに社長を含め、経営陣が頭を悩ませるところでもあります。
どの職場においても、こうすれば絶対に良くなるという万能な方法はないのですが、職場改善を進めていくにおいて、知っておくべき留意点について2つお伝えします。
現場の生の声を活かす
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分析結果を見て、「うちの会社は○○が出来ていない。」だから、○○を解決するために、まずは研修から始めようと考える社長がいらっしゃいます。
先ほどもお伝えした通り、数字を見て「○○が出来ていない」「○○の結果が悪い」と一方的に判断してしまっています。これでは、問題の本質を見逃してしまう場合があります。
ではどうしたらよいのか。
社長が、まずはその現場で何が起こっているのか、実際に目で見ることです。そして、どんな課題があるのか、実際に社員にヒアリングをするなど情報収集をすべきなのです。
それらの生の情報や、生の声は、現場の問題点についてより多角的に判断できる材料となるに違いないからです。また、問題点だけではなく、良い点もあるはずです。粗さがしではなく、良いところを探し、それをより強化するというのも、改善の方向性として決して忘れてはいけません。
管理職に積極的に参加してもらう仕掛けづくり
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粗さがしではなく、良いところ探しをして、よりよい職場環境をつくっていくにあたり、社長を含め、経営陣がそのプロジェクトに積極的にコミットメントする必要があることは言うまでもありません。
が、やはり重要なのは、社員に「自分ごと」として考えてもらう機会を提供するということでもあります。そのために、まずは集団分析の結果を一部、公開することも必要です。全社的な傾向を理解してもらい、現状認識することが重要だからです。
その上で、管理職が参加し、議論できる場を設けます。そこで、問題点や課題、良い点も含めて確認し、改善すべき点を抽出して、その解決策を討議していくのです。
解決策ありきではなく、この場では、出来るだけ自由に制限のない「解決案」が出るようにします。特に最初のとっかかりとして、職場の良い点を伸ばすという方向で解決策を決めるのが良いでしょう。
その解決策についてPDCAサイクルを回しながら、まずは出来るところから改善に着手していくことをお勧めいたします。解決策のひとつとして、知識やスキルを学ぶための研修が必要であれば、その時点で研修を導入すべきか判断すればよいのです。
ストレスチェック集団分析結果を活かすも、ムダにするのも、社長の理解と言動にかかっているのです。改善のために手段や手順を間違えず、地道に改善していくことが求められるのです。
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今週の提言
「生の声」と「社員参加型」で組織分析の結果を活かす
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