専門コラム 自社における「One Team」の本質を理解しているか
第138話: 自社における「One Team」の本質を理解しているか
イキイキ働く社員が育つ人材育成、働きがいのある職場環境や活気ある組織風土づくりを専門に行っている当社には、自ら人材育成や組織風土改革に熱心な企業の社長や経営陣から様々な相談をお受けしております。
この度、流行語大賞を受賞した「One Team」という言葉。ラグビー日本代表のスローガンとして今年、様々な形でメディアに取り上げられました。このOne Teamという言葉、簡単に「一体感」という意味と誤解していないでしょうか。
ラグビー日本代表チームにおける「一体感」には、多くの困難があっただろうことが想像できます。というのも、チーム内には多くの外国人選手がおり、出身や文化はもちろん、様々な背景や価値観を持っているメンバーが集まっているからです。
それらの「違い」まさに「多様性」を互いに理解し、受け入れ、1つの目標に向かって結果を出すためのOne Teamなのです。
多様性を無視する企業は淘汰される
さて、この考え方を自社に取り入れようとする時、多くの経営者が間違ってしまうのは、「一体感」を作るために、多様性を無視し、同一にすることであると考えてしまうことです。
確かに、これまでの日本企業では、会社の独特のカラーやカルチャーが存在し、そのカラーに馴染んでいる社員が多くいました。そのような社員が会社に残り、独特のカラーやカルチャーが引き継がれていきました。
一方で、馴染まない社員はしだいに心の居場所をなくし、仕事には満足しているものの、その組織を去るという選択を余儀なくされてきました。そこにあるのは、「一体感」ではなく、違いを受け入れない「拒絶」「排除」だったのです。
ですが、このような「拒絶」や「排除」を行う企業はこれからの時代、もはや生き残れません。女性やシニアの活用、外国人の登用、そして障碍者との協働など、すでに様々な「多様性」が存在しています。それらの違いを、自社ではどれだけ活かしているでしょうか。
「同じ」が心地良い 人間の心理
とはいえ、多様性を受け入れるというのは、本来、とても難しいことでもあります。というのは、そもそも私たちは「同じ」が心地良いと感じるからです。しかもこの心理は、今、しだいに加速しているように実感しています。
例えば、ネットやSNS上で、個人が自由に意見や感想を発信することが可能な今、自分と違った考えについては、批判や非難が殺到してしまうということはよくある現象です。
同じ考えを持つ相手のみを「仲間」と考え、他は排除してしまうという思考や行動が日常的に蔓延しているのです。
多様性を受け入れなければならない その考えが圧力に
多様性が求められる社会と、一方では「違い」を排除してしまう心理。その相反する現実から目を反らさず、自社におけるOne Teamを実現させていくには、経営者としてどうしたらよいのか。
簡単ではありません。が、基本的なスタンスは、どちらか一方や誰かを「悪者」にしないということです。要するに、多様性を重視する人と、それを排除しようとする人との間に相互理解を深めるためには、まずは、どちらか一方が悪いと決めつけないということです。
トップとして「多様性は認めなければならない」と一方的に理想像を振りかざすことも意味がありません。ラグビー日本代表チームでは、衝突を避けずに、メンバー同士が徹底的に話し合いを行ったそうです。また、コーチとの1on1ミーティングも積極的に実践されていたと聞きました。
まずは「対話」の量を増やすことがカギとも言えます。そして、相手を悪者にするのではなく、互いを尊重しつつ、仕事を通じて認め合う、貢献し合うことから始まるのです。
One Teamを目指して、職場風土づくりに本気で取り組みたいとお考えならば、ぜひ弊社のセミナーに一度、お越しください。心理学の知見から、積極的な対話を作り出す組織風土づくりのノウハウをお伝えします。
今週の提言
多様性を活かすには「悪者」を作らない
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