専門コラム なぜ成果が出ない?チームの一体感が崩れた会社に必要な3つの改革ステップ

「うちの社員は優秀だけど、チームワークがバラバラで…」
そんなご相談をよくいただきます。
ある企業の人事責任者の方も、こう話していました。
「中途採用で能力の高い人材が多いのですが、チーム内でミスを非難し合う空気があって、メンバーが萎縮してしまうんです」
このような職場では、失敗=減点という意識が強く、ミスを共有し改善する文化が根付きません。結果として、
・失敗を隠す
・チームでの相談が減る
・信頼関係が築けない
といった悪循環が生まれてしまうのです。
本来、チームの力は「1+1=2」ではなく、「1+1=3、あるいは10」にもなり得るはず。しかし、失敗を認め合えないチームでは、「1+1=0」あるいはマイナスになることすらあるのです。
このような状態に陥る企業には、いくつかの共通点があります。
特に「心理的安全性の欠如」と「組織カルチャーの硬直化」が深刻な要因になっているケースが多いのです。
なぜ心理的安全性が失われるのか?
最近では「心理的安全性」という言葉も知られるようになってきましたが、これは単に「仲良しでいること」とは異なります。
心理的安全性とは、「自分の意見を言っても否定されない」「ミスをしても学びに変えられる」空気があるかどうか、です。
ところが、
「失敗したら終わり」
「報連相をすると必ず何か指摘される」
といった空気がある職場では、自然と自己防衛の行動が強まり、協力し合うことよりも自分を守ることが優先されてしまいます。
これは心理学の視点から言っても自然なことです。
失敗したら即終わり・・・という空気を作っているのは、実は経営者や管理職の何気ない言動です。
経営者がすぐにできる改善策3つ
では、どのようにすれば一体感のあるチームが生まれるのでしょうか?
人材育成や職場風土改革を支援する立場から、特に効果的だった3つのアプローチをご紹介します。
1:「失敗=学び」というメッセージを繰り返す
社員が失敗を隠すのは、それによって「評価が下がる」「信頼を失う」と思っているからです。
だからこそ、経営者自らが「失敗は学びの種」であることを、繰り返し言語化して伝えていく必要があります。
おすすめは、社内メールや朝礼で「この失敗から何を学んだのか」「その経験がどう次に活かされているのか」を共有する習慣をつくること。
たとえば「今週のナイスチャレンジ事例」として、小さな失敗とそこからの学びを讃えると、徐々に安心して挑戦できる空気が生まれます。
失敗しても、そこから学ぶことが評価されるというカルチャーが生まれます。
2:「こんな組織にしたい」を言語化し、何度も伝える
社員は、経営者が何を大切にしているのかが分からないと、自分の判断基準を持てず、行動もバラつきがちです。
まずは、
・どんな価値観を大切にしているのか
・どんな組織文化を目指しているのか
を、明確な言葉にして発信しましょう。
一度伝えただけでは足りません。何度も何度も伝えることで、ようやく「これは本気なんだ」と社員が受け取ってくれるのです。
3:「安心して相談できる場」を経営者がつくる
相談しやすいチームは、自然とチームワークが良くなります。
だからこそ、経営者自らが「相談を歓迎する文化」をつくる必要があります。
たとえば、月に1回、社員との1on1を設定して、
・フランクに雑談から始める
・日頃の不安や悩みを聞く
・アイデアや提案を引き出す
といったことを継続していくと、「上に本音で話してもいいんだ」と感じてもらえるようになります。
チームワークを育てるのは経営者の仕事
「チームワークがないのは社員のせい」そう思っているのであれば、それは間違いです。
実際は、組織の空気をつくるのは、経営者の言動や方針が土台になっていることが多いものです。
だからこそ、あなたが「どんな組織にしたいか」を言葉にし、失敗を許容する文化をつくり、相談を歓迎する姿勢を見せること。
それが、チームの一体感を高め、社員の力を最大化する第一歩です。
今日の提言
チームワークを育てるのは経営者の仕事

