専門コラム チームワークを高める取り組み、始めていますか
「社内のあるチームから、上司の対応がハラスメントではないかと相談があったんですよ。
そのチームは成績優秀で、ノルマも達成しています。メンタル不調の人間もいないし、外からは全く問題が見えないのです。
相談者含め、チームメンバーの話を聞くと、上司が常に自分の考えを一方的に押し付けるため納得しないまま仕事を続けているのがつくづく苦痛だというのです。
確かにこのチームのリーダーは、以前、他でもパワハラに近い言動があり問題になったんですが、今回は、パワハラのような言動はないんですよね。
ただ、チームとしてうまく機能していないのは事実。こんな時はどう対処すべきかと頭を悩ませています。」
経営幹部の方からのご相談です。
ハラスメント言動もなく、成果も出している。だが、チームメンバーから不満が出ているというわけですね。
上司も一度、パワハラを注意されているようですから、言動には気を付けているはず。
ですが、その部下が疲弊し、人事の窓口まで相談を持ちかけているというのですから、深刻です。
このコラムでは、チームとして機能していいない場合、会社としてどう対応すべきかについてお伝えします。まず最初にすべきこと1つをご紹介しますので、すぐに取りかかってみてください。
成果を出していればチームとして問題ないのか
ところで、冒頭の幹部の発言から、社内では「問題がないのではないか」と言っている
他の幹部がいるであろうことが推測されます。
成果を出しているのですから、そこだけ見ると、優秀なチームであり、チームの上司はうまくマネジメントしていると高く評価されてよいはずだと一部の幹部が考えているということですね。
本当にそうなのでしょうか。
結果だけを見ると問題ないかもしれませんが、現場から不満の声があがっているのです。
100%の成果を出すために、120%あるいは200%のエネルギーを使っているのかもしれません。
そのような状態が長く続けば、メンタル不調者が出るのは時間の問題でしょう。
さらに、リーダーのやり方についていけず、優秀な部下ほど会社を去っていくという事態に発展するかもしれません。
このような事態になってからでは遅すぎるのです。
辞めずに会社に残った社員も何もせず放置した会社に対する不信感を募らせているため、関係回復に相当の時間や労力を取られることになるでしょう。
不調者がいないからといって放置すべきではなく、現場の声にしっかりと耳を傾ける必要があるのです。
現場の声をしっかりヒアリングすること
では、まず何をすればよいのか。
ストレスチェックを実施している企業であれば、実施後の集団分析をしっかりと実施することが重要です。
ストレスチェック実施時に、簡単なアンケートを取るのも良いでしょう。
特に、上司や同僚、部下との人間関係に関する調査をすることをお勧めします。
というのは、職場の人間関係が良好かどうかは、その職場で働く社員のパフォーマンスに大きく影響するからです。
ストレスチェックを実施していない50人未満の会社では、職場環境に関するアンケートなど、組織内調査を実施することをお勧めします。
同時に、現場のキーパーソンに対してヒアリングをしてはどうでしょうか。
見えにくい組織、チームの課題をあぶり出すのです。そのためにまずは、組織の実態調査をしっかりすることです。
長期的視点で風通しのよい組織風土づくりを
ですが、中長期的には、チームワークを出して成果を出すために会社の「風土」づくりが欠かせません。
冒頭の企業では、ハラスメント案件として然るべき社内窓口に相談が入ったのですから、
まだ健全なのです。
ところが、会社内で不満が増殖してしまった場合、チーム内の社員がごそっと一度に辞めるということもあるでしょう。
ハラスメントではなくとも、このチームの上司がリーダーとしてマネジメントする立場としてふさわしいのかどうかは、トップを含め、一度しっかりと考えるべきでしょう。
これからの時代、一方的な価値観を押し付けるマネジメントスタイルでは、部下が委縮してしまい、厳しいビジネス環境で勝ち抜いていくことが難しくなるのです。
双方向の健全な対話ができる職場環境を経営陣が求め、それを明確にし、言語化し、
社内に浸透させていくことが必要です。
そのプロセスにおいて、これまでのマネジメントスタイルが通用しなくなった人間が、会社を去るという選択をする可能性もあるでしょう。が、それはいたしかたのないことなのです。
新しい部下指導、チームワークづくりに今から着手しなければ、ポストコロナのような
これまでの「当たり前」が通用しない、変化に柔軟に対応せざるを得ない社会では、
古い指導スタイルを続けていれば、あっという間に取り残されてしまうでしょう。
当社では、中小企業が長期的に繁栄するために、そして、会社にふさわしい人材を育てるために、会社も社員も成長する仕組みづくりを支援しています。