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専門コラム 新型コロナウィルス対策で組織に蔓延する不安への正しい対処法 組織風土・企業文化・社風

社長は、集団心理を理解し、適切な時期に適切な言葉で語ること。

150話:新型コロナウィルス対策で組織に蔓延する不安への正しい対処法

 

新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、政府によるイベント等の自粛勧告の中、企業においても様々な対策を余儀なくされています。いち早く、テレワークに踏み切る、あるいは時差出勤の導入を行うなどの大掛かりな対策を打ち出した企業もあれば、出勤前の検温や手指のアルコール消毒の徹底他、最新情報の共有や、BCPに基づいた対策をしているなど様々です。

 

実際には、今現在、自社で働く労働者に感染者がいない場合であっても、感染リスクに伴う事業の休止、感染が発生した場合の企業の風評リスクなど、今後の経済活動における懸念が山積みとなっている状況です。

 

連日のようにマスコミやSNSを通じて目にする、耳にする情報により、労働者自身の中にも漠然とした不安が蔓延しています。世間が一斉に自粛ムードの中で、わけもなく能天気でいられる人ばかりではありません。なんとなく、どんよりとした気分になり、会社の将来に対する不安や、経済的な不安など、不安は放っておくと、どんどん大きくなっていってしまうのです。

 

不安は人の間で連鎖もします。企業が感染拡大防止のための対策を行うことは、正しいことと頭ではわかっていても、「うちの会社はどうなるのだろうか」など一人の不安が集団に連鎖するのです。その時、集団心理の扱い方を知らなければ、予想以上の大きな打撃を受ける可能性があるのです。

 

今回は、現状において、組織における集団心理をどう扱うか、社長は何をすべきかについてお伝えします。

 

わかっているはず、と伝えないのは怠慢
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まず、自社内に、いつもとは違う状況に対して、なんとなく不安やソワソワした感じが蔓延している場合、それを見過ごし、放っておいてはいけません。今、やるべきことをきちんとやっているという状況とはいえ、「皆、わかってくれているはず。仕方ないと理解しているはず。」と考えるのは、経営者の怠慢です。

 

このような時期だからこそ、社長自らが、自分の言葉で、自社の対策を明確に打ち出すことはもちろん、この時期、会社が何を優先しているのか、何をすべきなのかをあらためて伝えるべきなのです。

 

自社対策に関する、いわゆる心が通っていない「通達」を行うのではなく、社長からの「メッセージ」が重要なのです。

 

うちは大丈夫、まだ大丈夫が命取りに
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逆に、組織のトップとして、「正常性バイアス」にも十分に注意する必要があります。正常性バイアスとは、危機的な状況であっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい、都合の悪い情報を無視したり、過小評価してしまうことです。「うちの会社は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと根拠もなく過小評価することです。

 

このようなバイアスを持っている場合、それは組織にも間違いなく伝わります。
会社として、顧客や、社員、社会に対して適切な対応を行うことが後手になってしまい、ステークホルダーからの信頼を失うことも十分にあり得るのです。

 

「競合他社がやっているから、そろそろうちもやらなくてはいけないか。」などと悠長にかまえていてはいけないのです。この機会に、「これから自社が何を目指すか」「どう行動していくか」の方向性をきちんと示してください。

 

適切な時期に「リセット」する大切さ
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感染はいずれ収束に向かい、状況も変わるでしょう。実は、その「変化」をどう迎えるかも大変重要なのです。なんとなく乗り越えられた、なんとなく終わった・・・ではだめなのです。

 

集団に蔓延した、心配や不安などの感情をきちんと処理しないと、その後も、なんとなくネガティブな状況、感情に引きずられてしまうからです。変化の時期、収束の時期には、あえて「リセット」する必要があるのです。

 

社長自らが、再度、自分の言葉で、メッセージを送ってください。今回のようにある意味、危機的な状況下にあっても、職場には、ムードメーカーとなり、チームの雰囲気を盛り立てたり、同僚に情緒的サポートを行ってきた人もいるはずです。そのような労働者をぜひ労ってください。

 

これを機に、「仲間への情緒的サポートを通じて仲間意識を高める」あるいは、「組織が一丸となって結束し、行動する」などの「財産」を手に入れる企業があるはずです。それは、社長が、社員の心理的動揺や不安について正しく理解し、適切な時期に適切な判断と行動を行ったかどうかにかかっているといっても過言ではないのです。

 

今週の提言
   社長は、集団心理を理解し、適切な時期に適切な言葉で語ること。

 

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