専門コラム 社長が「組織風土改革」をトップダウンで行ってはいけない理由
第149話:社長が「組織風土改革」をトップダウンで行ってはいけない理由
イキイキ働く社員が育つ人材育成、働きがいのある職場環境や活気ある組織風土づくりを専門に行っている当社には、自ら人材育成や組織風土改革に熱心な企業の社長や経営陣から様々な相談をお受けしております。
その中には情熱にあふれた創業社長もいれば、2代目3代目でより会社を大きくした敏腕社長もいらっしゃいます。あるいは大企業において、会社の屋台骨となる部門を任されており、多くの部下を従え、能力を存分に発揮されていらっしゃる方もいます。
皆さん、大変にエネルギッシュで、決断力も行動力もある方々ばかりです。普段から情報収集にも熱心で、弊社のような心理学的知見を活かした「人材育成」や「組織風土づくり」についても、大変関心が高く、すぐに決断し実行しようとされています。
ですが、弊社では、社長自身ひとり熱心に、情熱を傾けて、社内の仕組みづくりを行ってはいけないということを強くお伝えしています。もちろん、人を育てる、組織のカルチャーを醸成するような場合、トップがどれだけ真剣に関わるかという強いコミットメントが求められることは言うまでもありません。
仕組みを企画し、導入することで、会社としてどのような未来を描いているのか、それを伝えるのもトップの仕事です。そこに手を抜いてはいけません。
ですが、実際に「仕組み」を企画、運用するにあたっては、トップダウンで行ってはいけない理由があるのです。
弊社では、育成や組織風土などに関わる仕組みづくりをプロジェクト化し、プロジェクトチームが率先して実践することをお勧めしています。それは、プロジェクトチームが行うメリットがあるからなのです。
次世代リーダーの視野を広げる体験とする
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育成や組織風土改革などを行うにあたり、多くの社員が感じるのが、「社長が何か新しいことをやろうとしていようだ。自分たちには関係ない。余計な仕事を増やしてほしくない。」ということです。
そもそもこのような「本音」が蔓延していることに危機感を感じたトップが、社員にはイキイキと仕事に情熱を傾けて働いて欲しい、会社や社会に貢献して欲しいと願い、改革を導入しようとされるのですが、この社長の願いと現場の本音には大きな隔たりがあるのも事実です。
そこで、次世代のリーダー候補となる社員にプロジェクトチームに関わってもらうことで、日々の現場の課題解決の視点を生かしながら、プロジェクトを通じて、会社全体を眺める、課題を見つける、解決を考えるというプロセスに関わってもらうのです。
セクショナリズムから脱却し、他部署への理解が深まるだけではなく、メンバー間の交流も増え、社内人脈の構築にもなります。
この体験は、メンバー自身が視野を広げる大変貴重な体験なのです。次世代リーダーとして早くからこのような体験を積むわけですが、実はすでにこれが「育成」にもなっているというわけなのです。
「他人ごと」から「自分ごと」へ
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実はプロジェクトメンバーだけが恩恵を受けるわけではありません。これまでコンサルティングで関わったクライエント企業では、人事総務などの部門が率先して、このような活動を行っていた会社もありました。
それはもちろん間違いではありませんが、社員ひとりひとりが、「自分ごと」として捉え、行動をしていたかというと課題がありました。どうしても、人事総務が決めたことを「やらされている」という感じが残っていたのです。
同様のことをプロジェクトメンバーが行うことは全く違います。同じ部署の先輩や同僚がメンバーに関わっていれば、否が応でも「何をやっているんだろう」と興味もわきますし、メンバーから「このプロジェクトを成功させたいから、ぜひ協力して欲しい」と言われば、協力してみようと思うでしょう。
そこに、すでに仕事以外の点で、他者に興味を持つ、尊重する、協力するという関係が築かれていくのです。まさに組織風土をづくりの原点にもなっているというわけなのです。
もちろん、社内の人材育成や組織風土づくりで、社長にしかできないこともあります。その線引きをしながら、プロジェクトチームを盛り上げつつ、改革を行っていくのです。もちろん、弊社のコンサルティングにおいて、「この仕組みを導入してください」と内容を押し付けることは致しません。自社で「内製化」するお手伝いをしているのです。
御社の仕組みづくりはうまく行っていますか?
社内に根付き、社員が自ら行動していますか?
今週の提言
組織風土改革の内容は、社員が自分たちで決めて実行する理由がある
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