専門コラム 社員の働きがいを追求する企業が行う積極投資とは
第114話: 社員の働きがいを追求する企業が行う積極投資とは
企業が利益を追求するのは当然ですが、経済的な価値を最優先し、経済的な価値のみを追求するという考えもあれば、それらの経済的価値を生み出す社員の働きがいを追求し、その結果、業績を上げているという企業もあります。
業績があがり、企業が成長しているという結果だけを見れば同じなのですが、そこに到達する考え方には大きな隔たりがあります。
弊社のセミナーに参加したり、問合せをする企業の経営者の方はほぼ間違いなく後者なのですが、前者の考えの経営者に出会う機会もあります。話を伺ってみると、そのような会社では、会議ではほぼ数値目標が語られ、達成したか達成できたかが話題の中心となります。
そのため、達成できなかった社員は評価されず、達成できるような十分なサポートも得られず、メンタルダウンとなり離脱するということもよくある話です。メンタル不調者や、上司によるハラスメントなどが訴えられるようになって問題が顕在化して初めて、社員の育成や組織風土改革の重要性に目覚めるというわけです。
そのような場合、何からどう手を付けてよいのかわからない、社内のリソースだけでは対応できないというご相談が寄せられています。具体的に何をしたらよいのか、基本的な方向性についてお伝えいたします。
経営陣が意識を変えること
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これまで数値目標の達成のために、組織改革に手をつけてこられたのであれば、それは評価制度や報酬制度の見直し、組織構造の見直し、あるいは企業の戦略や業務プロセス改善などの側面だったのではないでしょうか。
これからの時代、企業が組織として持続的に成長していくためには、組織で働く「人」、そして「人」の間で繰り広げられるコミュニケーションに手を加える、見直すなどの側面により注力していくことが必要なのです。その重要性に気づき、変えていくという本気の覚悟が求められています。
社長は成長目標を数字で語らない
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会社の目標を数値目標だけで語ってはいけません。会社の目指す姿や何をもって社会や顧客に貢献するのか、という自社独自の「物語」を語るべきなのです。そして、その自社独自の物語を語るのに最もふさわしいのは、社長です。社長自ら、自身の力強い言葉で、会社の未来・将来像を語るべきなのです。
これから採用においても、会社が存在する「意義」が何であるのかを問われていくことでしょう。その答えを提示できない企業には人は集まらない時代になっていくのです。
自社に必要な人材像を明らかにする
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成果第一主義であれば、所謂「クラッシャー上司」であっても、結果を出しているため評価されるわけです。ですが、このような人材は、目の前の部下をダメにするだけではなく、会社組織もダメにする人材です。とにかく成果を出すよう部下を精神的に追い詰めていく指導方法は、これからは評価してはいけません。
組織の中においては、自分だけ良ければ良いという視点ではなく、チームや部署、部門、そして会社として発展し成長していくという視点が求められます。
ですが、往々にして「クラッシャー上司」と言われる人は、自身の態度を改めることが難しいのです。研修なり、対話なりを通じて、自らの行き過ぎた言動のもたらす弊害を理解し、受け入れ、言動を変えるよう関与することは必要ですが、変わることが出来ないのであれば、部下への対処法を変えるのではなく、その本人への対処法を真剣に考えなければならないのです。
まとめ
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これからの組織改革は、人に焦点をあてて、継続的に投資をしなければなりません。そのことにいち早く気づき、行動し始めた企業が、令和時代にも業績を伸ばしていくことでしょう。
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今週の提言
組織で働く「人」の成長と課題解決に積極投資する
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