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専門コラム 第72話: 働きがいのある職場づくり実現に必要な社長の「覚悟」 コラム

当社のセミナーやコンサルティングに問い合わせをされる企業の社長の多くは、経営者として、人財育成や社員の働きがい、コミュニケーションあふれる職場環境づくりなどにすでに興味や関心があり、実際に様々な社内制度を導入され、実践されています。

表彰制度や社内イベントの企画実施、上司と部下との定期的な1on1 ミーティングなどがホームページでも紹介されています。そのため、「すでにいろいろと精力的に職場環境改革をやっていらっしゃいますよね」とお伝えするのですが、「いやあ、実は・・・」と歯切れの悪い答えが続くことがあります。よくよく話を伺っていくと、それらの制度が社内に根付いていないというのです。

もちろん、導入当初は目的があり、手探りながらも起動し継続してきたのですが、しだいにフェードアウトしてしまっているとのこと。残念ながら、「組織風土変革」に行きつく前に、なんとなく下火になってしまっているのです。

どんな制度もイベントも、慣れてくると新鮮味がなくなってしまうものです。そのまま制度がアップデートされずに放置されていると、しだいにナアナアになってしまうこともあります。

その結果、1年は続けてみたが根付かなかった。それは制度自体に問題があったのだと考える。それではまずいと、慌てて何か新しいことをしようとすることになる。しまいには、その繰り返しになってしまう、というわけです。

また、社内制度やイベントなので、あえて内輪でやろうとすることも限界があります。本来は、会社の組織風土、カルチャーを変えようとして導入する仕組みづくりなのですが、制度設計の段階になり、「これは無理」、「うちの会社では難しい」と判断してしまい、どんどんとハードルが下がってしますのです。

「働きがいのある職場づくり」の仕組みを導入するにあたり、楽しいことをやろうとするのは良いのですが、全くの痛みを伴わない改革では変化は起こせないのです。いつもの感覚で、これくらいで良いという判断がなされ、新しいことに挑戦しないばかりか、まずはこの程度でという油断や甘えが生じてしまいがちなのです。

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 痛みに向き合い、乗り越える覚悟はあるか
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 一方で、組織変革を断固として行うと腹をくくっている企業では、「表彰制度」だったり「1on1ミーティング」だったりと、表面的にはやっていることは同じように見えても、必ず何等かの痛みを伴う必要性を理解しています。

つまり、これまで組織の中で当然のようにやってきたことを自ら否定するようことさえあることを理解しているということです。これでは間違っているのだと認めるのは辛くもあります。ですが、社長がそのことに気づけていない場合、単に本を読んだり、セミナーに参加したりして、見様見真似でやろうとして、痛みを伴わないものであれば、それは所詮これまでの延長線上であるということです。そのような制度を導入したところで、改革とは言えないのです。

実はコンサルティングで伺う中で、「それがいけないのです」「そのやり方は間違っています」とバッサリとお伝えすることがあります。その時の社長の返答によって、外部の客観的な視点や批判を受け入れて、それでも「組織改革」をやり遂げようとする意志があるのか、すべてが透けて見えてしまいます。

楽しい明るい職場になればよい、という安易な気持ちでは「働きがいのある職場」という理想の職場づくりは不可能です。社長だけではなく、組織全体も痛みを伴うことさえあるのです。それを受け入れ乗り越えてこその「改革」なのです。

自社の弱みを受け入れる覚悟はあるのか、指摘されたことを素直に実行できるのか。外部のコンサルタントの耳の痛い言葉にどれだけ真摯に向き合うことができるのか。または、組織改革の途中で、社員からの不平不満という本音に向きあわなければならない場合もあります。その時、社員の言葉に耳を傾けることができるのか。

まさに、社長の心の器、メンタルの強さが問われるのです。その痛みに向き合いつつ、これまでやっていなかったこと、出来なかったことにあえて挑戦する姿勢をもつ企業だけが、「組織改革」にたどり着くことができるのです。

今週の提言
 痛みを伴わない組織改革に成功はない


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