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専門コラム 第7話:社員がイキイキ働く業績が上がる組織にはある「仕組み」とは コラム

 

 

「たった一人のメンタル不調者も出さない主義。だからうちの会社では徹底し
たメンタルヘルス対策をやっています。休職者も無事に復職を果たした今、メ
ンタル不調者はほぼいないと思います。」

そう自信満々に発言されたのは、ある人事担当役員の方。確かに話を聞いてい
ると、メンタルヘルス不調者が休職した場合、しっかり安心して休んでもらえ
るよう環境を整え、復職にあたってもその制度を整えられているのです。その
ため、大変社員に優しく理解のある会社だという印象を持ちました。

確かに休職者がおらず、また退職もせず復職できたのですから、会社として手
厚い対応をしているわけです。ですが、残念ながら復職したての場合は、体調
が不安定になりやすく、休職前の状態に戻るまでに時間が必要なことが多い。
そのため、復職者本人も、その上司も同僚も部下も、互いに気を使い、気疲れ
してしまうという悩みを聴くこともしばしばあります。

この、仲間同士で「気疲れ」してしまうという状態は、一見、相手を思いやっ
ているように見えますが、実はチーム全体を萎縮させてしまっているのです。
また、復職者本人以外のまわりの社員の状態に気づくのが遅れてしまうことも
あり、残念ながら、次の休職者を出してしまうことにもなりかねません。

制度として整っているだけでは、このようなチームの気疲れやギクシャク感を
排除するのは難しいでしょう。

実は、復職者を迎える職場の理解こそが、メンタルヘルスの再発予防には欠か
せないのですね。ところが、このことに気づいていない経営者、人事責任者の
方もたくさんいらっしゃいます。なぜなら、「メンタルヘルスは個人の問題では
なく組織の問題である」ということが腹落ちされていない方が多いからなので
す。

不調になって休職していた「個人」が元気になり復職することができた。良か
った良かった、ということで「個人」の問題として片づけられてしまっている
のです。

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復職者をむかえる職場環境は整っているか?
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一方で、チーム全体がイキイキ働き、互いに助け合っている職場においては、
チームメンバーの一人がなんらかの事情によりパフォーマンスを発揮できない
状態になると、そもそもメンバーを支え合うカルチャーが根付いているため、
チームとして対応しようとするのです。

というのは、メンバーが休職するなど、一人が欠けることでチームにどれだけ
の影響が及ぶのかをしっかり理解しているので、それを事前に防ごうと早いう
ちから手を打つのですね。つまり、「見て見ぬふりをする」とか「放っておく」
ということをしないということです。

「隣の同僚がどんな仕事をしているのかよくわからない」などという組織では
あり得ないでしょう。チームリーダーでもある管理職が、それぞれのメンバー
の仕事の内容を把握し、しかもそれが適切にチーム内で共有されている必要が
あるのです。

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チーム内で支え合う「仕組み」づくりが必須
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また、パフォーマンスが低下したチームメンバーの仕事をフォローするにあた
り、特定のチームメンバーにのみ負荷がかかってしまうのも問題です。そうな
らないためには、日頃からチーム全体で、互いにフォローし、フォローされる
という関係性が求められます。

実はこの「関係性づくり」がしだいに難しくなってきています。「自分はこれだ
けやっているのに、相手は全くやる気がない。一所懸命やっているのがバカバ
カしくなってきた。」などということも起こります。つまり、メンバーの「やる
気」を当てにしていては成り立たないということです。

「やる気」という感情を当てにしてしまうと、どうしても不公平感を感じるメ
ンバーが出てしまいます。だからこそ、支え合うための「仕組み」を作るので
す。その仕組みを評価に反映するのも良いでしょう。

さて、メンタルヘルスを組織の問題と捉えて対処していますか?
御社ではチームが互いに支え合う「仕組み」が整っていますか?

今週の提言
社員の「やる気」を当てにするのではなく「仕組み」を導入する


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