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専門コラム 第67話: 社長が見誤ってはいけない やる気のない社員への対処法 コラム

今月に入り、立て続けに企業の経営幹部の方とお会いする機会がありました。どちらもお悩みは、管理職、マネージャークラスのやる気がない、経営陣と意識のギャップがあるということでした。

そのため、その部下も当然やる気がなく、組織全体に一体感や活気が失われ、ストレスを感じている社員も多数いるのだとか。どうすれば、管理職のモチベーションを上げればよいのか頭を悩ませていらっしゃいます。

このような時、ありがちなのが、やる気を持ってもらうようインセンティブなどを導入することで、「もっと頑張れ、やる気を出せ」「結果を出したら、その分、評価もするし報酬も出す」と短期的な視点で対応してしまうことです。やる気が持てないほどガソリン不足であるにも関わらず、もっとアクセルを踏めと言っているようなものです。

あるいは、「社員を甘やかすからダメなんだ、もっと厳しくすべきだ」と頑張らない社員に対して罰則規定などを作ろうとする社長もいます。これでは、ますます社員の心は離れ、頑張ろうとする気力も萎えてしまいます。

または、対象者に対して、モチベーションを向上させる研修を受けさせる。この場合も、抜本的な対応というより、短期的になんとか効果を上げたいという経営側の焦りのようなものさえ見え隠れします。

これらの対策で見えてくるのは、「やる気がないのは、その本人が悪い」という思考です。そのため、本人にアメやムチを与えることでなんとかやる気を持ってもらおうとする短期的な思考でもあります。

しかし、本来、社長が真っ先に考えるべきは、なぜ管理職がやる気を失っているかということです。その理由や背景を正しく知る、理解するということです。それをせずに、「全く、あいつは使いモノにならない。」とばかりに個人批判をしていても何も解決はしません。

「会社が研修やインセンティブなど様々な機会を与えているのに、どうしたものか。」と嘆いてみても、その思考自体がますます社員を追い詰めていることに気づいていないのです。

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 やる気を失う組織そのものの課題が隠れている
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組織全体において、あるいはある一部の部署において、管理職のやる気が感じられない、活気がないという場合、それは個々人の問題ではなく、その組織に何等かの原因が隠れていることが多いのです。

例えば、自分たちの仕事が、会社や顧客から何を求められているのかが不明瞭である、その割には仕事量も質の負担も大きく、「仕事がうまくいっていないと感じてしまっている。」

あるいは、管理職として部下とのコミュニケーションがうまくいっていないと感じている、仕事もマネジメントの上手くいっていないことを誰にも相談できずに、「この仕事は自分に向いていないのではないかと感じてしまっている。」

実際のところ、メンタルダウンしてしまう管理職は、上からの期待と下との関係性に疲弊し、相談相手もなく一人で抱えこんでしまうタイプが非常に多いのです。

部下を適切に指導しようとしても、「ハラスメントだ」と言われることを恐れてしまう、何かチャレンジしようと思っていても一度失敗すると二度と這い上がれないカルチャーがあるなど、結果として個々人のモチベーションダウンとして表れてはいるのですが、その背景には、様々な組織自体が抱える、なかなか見えにくい課題があるものです。

経営者としては、個人の問題ではなく組織全体の問題として、何か課題はないか、何が彼らのやる気を削いでしまっているのか、全体を俯瞰してみる姿勢が求められるのです。

その上で、彼らが失ってしまったやる気を取り戻してもらうために、何ができるのか、何が必要なのか、まずは社員とじっくりと時間をかけて対話をすることが必要なのです。

御社では、やる気のない社員を組織の問題として捉えて、適切な対策をしていますか。

今週の提言
 やる気のない社員を個人の問題として捉えていないか

 

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