専門コラム 社員の「心の健康」は、どう経営に影響するのか
先日、健康経営を実践している企業の成功事例をうかがう機会がありました。ある大手企業なのですが、そこでは、トップが積極的にひとりひとりの社員が健康でいることを支援する取り組みを行っています。
しかも、その取り組みは、自ら手上げをして、「参加したい、活動したい」という熱い想いをもった社員を募集し、その中からプロジェクトチームをつくって実践しているとのこと。
そのため、個々の取り組みはチームメンバーのアイディアがふんだんに盛り込まれているのです。取り組みやすさや、継続のしやすさ、何よりゲーム感覚で楽しく盛り上がるという要素が多く、まさしく「社員目線」での活動が上手く根付いているという実感を持ちました。
さらに、経営陣も積極的に参加する工夫もしっかり実践しています。また、素晴らしいと感じたのは、様々な活動が年々アップグレードされていることです。昨年の取り組みをきちんと振り返ることで、次年度に役立てているのです。
社員の健康が、どのように仕事の業績に結び付いているかを示すためのデータ解析を行った結果、自らの健康に留意するようになった社員は、翌年の業績にも大きく反映したという結果が得られたのだそうです。
適切な食事や良質の睡眠、そして適度な運動などを行うことで活力が増し、頭もスッキリ集中して仕事に熱中できるという「体の健康」が、良い意味で「仕事への取り組み方」に影響しているのです。
今後、企業が積極的に、社員の体の健康保持、増進を行うという流れは確実に広がっていくことでしょう。
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社員が、困難にも果敢に立ち向かう会社が持つ共通点
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一方で心の健康の方はどうでしょうか。
社員の健康には、精神的な健康も含まれています。ストレスと上手に付き合っている、健康的なポジティブな感情を持つことが出来ている、そして困難や逆境のような上手くいかない状況にあっても「自分には出来る」「やり抜くことが出来る」という健全な自己肯定感を持っているということは大切です。
ストレスフルな状態に置かれた場合、どうやって気持ちを切り替えるか、気持ちをコントロールするかという、いわゆるストレスマネジメントでもあります。一流のアスリートが普段、取り入れているメンタルコントロールのようなイメージです。
これらの正しい知識とスキルは、研修などを通じて学ぶことは可能です。が、学んだことを取得し、日々実践できるようになるということになると、それはまた一段とハードルが上がってしまうのです。
ですが、考え方を変えれば、組織全体で取り組めるような環境や仕組みをつくれば良いのです。
社員が普段からできるだけ機嫌よくいるためには、機嫌よくいられる職場環境をつくれば良いのです。それは、たとえ失敗したとしても、次もチャレンジする機会が与えられる職場であり、また、上司や同僚とのコミュニケーションが活発で、困難時においても上司から、あるいは仲間から「励まされ、勇気づけられる」という環境のことです。
そして何より、普段から社員一人ひとりが、この会社に所属していることに誇りと喜びを持ち、愛着、愛情を感じていたとしたら、普段から自分がどれだけ大切にされ、尊重されているかを十分に感じていたとしたら、それが困難に立ち向かえる力となり得るのです。
不平や不満、不安などのネガティブな言動に対しても、真摯に向き合い、耳を傾けてくれる上司がいれば、すぐに困難が解決せずとも、大切に扱われているという感じを持つことが出来、職場への信頼は高まっていきます。
その信頼が、この会社で働ける喜びとなり、より一層、この職場で、この仲間で、この仕事で頑張ろうというやる気につながるのです。
そして、社員が誇りを持てる、愛情と愛着を感じる会社をつくれるかどうか、それはまさに社長にかかっているのです。
今週の提言
社員が愛情と愛着を感じる会社をつくるという視点があるか
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