今週の専門コラム 「アクティブメンタル®体制でつくる収益と笑顔」 第56話: 明るく楽しい職場、和気あいあいと仕事ができる会社の末路

「高橋さん、うちの会社は比較的社員の年齢が若く、皆、仲間意識が強いんです。まあ、若手も先輩社員へ相談しやすい環境のようで、普段も楽しそうに仕事していますよ。なんといっても職場が明るいですしね。」と話される経営幹部方の話を聞く機会がありました。

その方が続けます。「でも、このような明るく、楽しく、和気あいあいの職場で良いのでしょうか?自分の世代は、先輩からもっと厳しく指導されました。そのおかげで、だいぶ悔しい思いもしましたが、結果的に自分が成長できたのだと思うんですよね。

今の職場を見ていると何かぬるま湯につかっているかのように感じてしまい、これからの厳しい時代を生き残れるのかどうか、正直なところ、危機感を感じているんです。」

さすが、普段から人材育成や職場環境づくりに熱心な方なので、アンテナの感度が高いのですね。確かに今、企業では、会社紹介の中で、職場が明るく元気である、仲間と楽しく仕事が出来る、などの文字が誇らしげに躍っています。会社案内やホームページ上には、週末の社員有志によるクラブ活動などの写真が、社員の笑顔と共に紹介されている場合もあります。

福利厚生の意味合いもあり、社内に様々なイベントが用意され、企業がそれらの費用を全額、あるいは一部負担しているところもあります。そのような取り組みを否定するつもりはありません。

社員間に強い仲間意識が形成されることが期待され、業務以外で仲間をより深く知ることで、相手を尊重する尊敬する気持ちが生まれるだけではなく、業務上困ったときなど的確な助言をもらうために声をかけやすい、依頼しやすいなどの効果があるに違いないからです。

ですが、冒頭の方のように、より先の会社の未来を見据えている方ならば、このままで良いのだろうかという「危機感」を感じてしまうのです。

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 新しい価値観、新しい行動を許容できるか
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産業構造の変化やグローバル化など、企業を取り巻く環境が急激に変化しつつある今、競争力を維持し、さらに成長させていくためには、これまでの人づくり、組織づくりでは限界があるのです。明るく楽しい職場、和気あいあいとした環境では不十分なのです。

会社の経営理念や方針を理解し、その方向性にあわせ、自ら考え行動するような志の高い社員が必要なのです。

新しい環境や条件に対し、果敢に挑戦するなど、社員が自身の成長や貢献を実感できるような組織が必要なのです。

従来のやり方を変える時、新しい行動や価値を生み出すには、職場間での摩擦が生じる可能性もあります。そのような「変化」を前向きに捉え、行動しなければならない時は、積極的に仲間と議論したり、新しい知識やスキルの習得のために厳しく指導をしなければならないこともあるのです。職場内の「調和」を優先してはいけない場合があるのです。

企業が持続的に成長、繁栄するためには、社員一人ひとりが自分ごととして、従来の価値観に甘んずることなく、本気で取り組む必要があります。そのような時、楽しい職場で楽しく仕事をするのではなく、自らが厳しい環境に身を置くことを選択し、もがきながらも行動しつづけなければいけないのです。

そのような社員をつぶしてはいけません。一丸となって支援しなければならないのです。

本来、企業が目ざすべきは、明るく楽しい職場ではなく、信頼関係や協力体制を保ちつつ、変化に果敢に挑戦する「新しい行動」を選択する勇気と、試行錯誤の中で「新しい行動」を継続する力を持つ社員を育む職場環境なのです。

今週の提言
 調和を優先し、変化を恐れる職場に未来なし