今週の専門コラム 「アクティブメンタル®体制でつくる収益と笑顔」 第57話:やる気のある社員が組織を崩壊させる 驚きの事実

先日、ある教育関係の経営者と話をしていた時のことです。その方の客先では、やる気のある社員をどう扱ってよいのか大変困っているとのこと。

社長が次のように悩んでいるというのです。

「若い社員が、とてもやる気があって仕事に邁進しているのは良いのだが、何か上手くいかなかったり、失敗したと感じた途端、自信を無くし、そのまま体調まで崩してしまう社員もいる。まるでやる気が持続しない。

また、ミスを取り返しのつかない失敗と大ごとに捉えてしまい、それを挽回する努力をするのではなく、そこで投げ出してしまうこともある。失敗の事実を自らの汚点と捉えてしまい、上司に相談するのが遅くなる。その結果、早い段階で手を打てた件も、後手後手になってしまうこともある。

根拠のない自信と、その自信が脆くも崩れ去った時の弱さに驚くばかり。プライドも高く、失敗を認めたがらないから成長もしない。普段はやる気があると思える言動が多いものだから、余計にどう扱ったらよいのか・・・」

実はこのような社長の悩みは比較的多くのところで耳にします。

若手社員からは、「自分はこの仕事をするために入社したのではない。もっと自分にふさわしい仕事があるのに出来ないのだとしたら、もう会社を辞めようかと悩んでいる。」という相談を受けたこともあります。

仕事を任され、一人前に出来るようになる前から、「こんなはずじゃなかった。」というわけです。そして「自分にあった仕事なら、きちんと出来る自信がある。」などと、根拠のない自信だけが強い。

自信があることは悪いことではありませんが、自我が肥大し、自分は優れていると思い込んでしまうと、失敗する自分や出来ない自分を認めることができず、他者や外の出来事に責任転嫁してしまいがちです。親もその状況を助長していることも多く、職場の問題に社員の親が出てきてしまうという現実まであるのです。

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 社員のやる気が途切れた場合の対応策を事前に練っているか
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冒頭のようなお悩みは、いくらメンタルヘルス対策をぬかりなく行っていたとしても防ぐことは難しいのです。なぜなら、その該当社員は、普段はとても元気でやる気に溢れているわけですから、メンタルダウンの予備軍であると認識されず、やる気があり仕事が出来ているうちは、何の対応もされずに放っておかれるからです。

ところが、一旦問題が発覚し、該当社員が、その問題、失敗を受け止められずに、また上司にも相談できずに一人で抱え込んだ結果、大ごとになってから報告し、後に体調不良で休まれたりすると、その後の対応は大変なことになります。

時に上司が適切に指導したとしても、その言動がハラスメントであると問題視するなど、本来解決すべきことの焦点がすり替わってしまうことさえあります。

自分は出来る
 自分には、○○のような仕事こそがふさわしい

などと目線がやけに上になり、現実を直視できていない社員に対しては、もっと目線を下ろして現実を見つめ、置かれている状況への理解と与えられている仕事の意義をしっかりと腹落ちしてもらう必要があります。

そのためには上司など管理職とのコミュニケーションにもコツがあります。若手社員自身が、失敗としても立ち直るだけのストレス対処力を身に着けることも重要です。自らのキャリアパスを冷静に見極める機会も必要でしょう。

また、ミスをいち早く報告し事が大きくなることを未然に防ぎ、再度チャレンジできる、チャレンジしても良いのだと思える職場のカルチャーも大切です。

「社員の心の教育までしなければならないのか・・・以前は考えられなかった。」大きなため息とともに社長の本音を聞くことがあります。仕事へのモチベーションが高く、自信も持っている、一見、頼もしい社員の心の弱点、そしてその対処法を知っているかどうか。社長は正しく知っておくべきなのです。

今週の提言
 社長は、社員のやる気のあるなしで評価してはいけない