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専門コラム 第40話:社長が成長戦略を数字で語ってはいけない理由 コラム

個々の企業によって様々ですが、社長が全社員を前に、次年度または中期の企業の成長戦略について語る機会が年に1、2回はあるはずです。そこでは、市場をどう捉えるか、その市場にどのように打って出るか、その結果、売り上げをどれだけ伸ばすかという積極的な自社の成長戦略が語られます。

3年後の売り上げを○○億円にする
 主力商品で、市場占有率を○○%上げる
 新たなサービスの導入で、新市場を開拓し○○%の利益を出す

○○には目標とする数字が入ります。力強く社長が語る成長戦略。それが魅力的であればあるほど、社員はワクワクします。目標に向かってスタートを切るべく気持ちを新たにします。

営業以外の部署であっても、その目標達成のために何をするのか、何ができるのかを共有し、日々の業務の中に落とし込まれていきます。

市場自体が成長している、または自社に魅力的な有力商品やサービスがあるという場合は、特に多くの社員がやりがいを感じるものです。

一方で最近では、働き方改革の名のもとで、

当社は残業を月○○時間までと制限する
 長時間労働は厳しく管理する
 管理職は、部下の心身の健康状態に目を光らせ対処する

などの労働時間やマネジメントに対する目標も掲げられることも多くなり、特に現場の管理職の間では戸惑いと不安が渦巻いているということも起きています。

営業部では、管理職は、これまでのように売り上げなどの数字だけではなく、部下の働き方までもマネジメントすることが求められています。優秀なマネジャーでも負担を抱え込んでしまい、メンタル不調などに追い詰められているというケースも少なくありません。

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 五感をフル活用して生み出す言葉がスローガンに
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このような環境下において、社長が自社の成長戦略を数字だけで語っている場合、個々の現場では大いに混乱してしまうということがよくあります。というのも、自社が何を目指しているのか、どの方向に進もうとしているのかが不明確だからです。

つまり社員の働き方を見直し、長時間労働を減らすことで、会社は何をしようとしているのか。社員一人ひとりにどんなメリットがあるのか。どんな理念、考え方のもとに行うのか。

本来ならば、決して数字だけでは語れない、会社の経営理念、ミッションに基づいた未来戦略を語らなければならないのです。実はその場合であっても、綺麗な言葉、素晴らしい言葉がずらりと並んでしまい、「それで結局、うちの会社はどうなるの?」と、現状との乖離に余計、社員を悩ませてしまうということもあるのです。

そのような場合は、一度、ミッションやビジョンからも離れて、社長自ら再度、自社が存在する意義、目指す方向を、簡単なわかりやすい言葉で考えていただきたいのです。当社のコンサルティングにおいては、この点をとても重要視しており、言葉だけではなく、色や形、大きさ、イメージなど様々な五感を使って自社の未来像について考えてもらいます。

その結果、とてもシンプルでありながらも力強く、自社の強みを表した表現に落ち着き、それがスローガンとなり、会社の成長戦略の道しるべとなります。そのスローガンのもとに、働き方改革を含む職場環境づくり、組織づくりを行うのです。

今週の提言
 成長する企業の社長は、「道しるべ」となる豊かな表現を選ぶ


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