専門コラム 第17話:社員のストレスを緩和する、社内の居場所づくりのメリット3つ
「うちの若手社員は優秀だけれど比較的メンタルに弱いのが多いんですよ。打たれ弱いというか。もっとたくましくなって欲しいのだけれど、指導する方も大変です。」
事業部長というお立場の方で、普段から若手社員の指導をしている課長、部長より指導の難しさについて日々、その嘆きを聞いているのだそうです。
確かに遅刻したことを注意したら、翌日から会社に来なくなってしまったというケースもあります。これまでの上司、部下の関係性に何らかの問題があったのかもしれませんが、このようなことが頻発してはたまったものではありません。
これは、極端なケースではありますが、打たれ弱い社員、メンタルに弱い社員に対して大切なのが、職場のストレスを緩和する要因とも言われている上司や同僚のサポートです。ですが、そもそもその肝心な上司との関係が良好でない場合は、誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまい、会社での居場所がなくなり、極端な行動に走ってしまうということも十分にあり得るのです。
では、上司との関係があまりよくない場合や、一人で抱えて思い詰めてしまった社員をサポートするにはどうすればよいのでしょう。その解決策の一つに、社内での居場所づくりというのがあります。
新人社員の場合は、入社した時にお世話になった研修担当の社員が悩みの相談相手になるということもあります。つまり、上司ではなくとも、同僚ではなくとも、社内に話を聴いてくれる存在を持っているかどうかがカギなのです。
社員の働きやすさ、成長と幸福を考えている組織では、このような居場所づくりを積極的に行っています。
===========================
「居場所」が心のセイフティーネットとして機能する
============================
居場所といっても、その内容は実に様々。社員同士の交流の場として、クラブ活動を推奨している組織もあれば、同期、ワーキングママなど立場が似た社員が定期的に集まる社内の場づくりを行っている企業もあります。あるいは、様々なプロジェクトを立ち上げ、その度に部門横断的なチームを作ってメンバー間のつながりを強化している企業もあります。
これらの居場所づくりのメリットは以下の3つ。
まず、メンバー間でサポートし合えること。仕事上の悩み相談も可能です。この場合は、悩みの解決法をアドバイスするができればもちろん良いですが、仮にそれが出来なくとも、親身になって話を聴く、励ます、頑張っていることを認める。それらは大きなサポートになります。
2つ目は、物ごとを俯瞰的に見る、考える機会になるということ。様々な立場や考えのメンバーが、それぞれの意見や考えを伝え合うことが出来るからこそ得られるサポートです。評価者という立場ではなく、自由に意見を交わすことで、一方的だった見方や考え方を修整する貴重な機会にもなり得るのです。
3つ目は、リラックス、リフレッシュできる場であること。クラブ活動がその最たるものですが、共通の趣味を通じて、「仲間としてつながる」感覚を持てているかどうかが重要です。
上記のように、所属部署以外に社内に居場所があるというのは、社内に心のセイフィティーネットを持っているということでもあります。
メンタルが強くない理由探しをしたところで何も解決はしません。一人ひとりの社員がストレスを感じた時に、そこから立ち直る力を養うにはどうしたらよいのか、を真剣に考える方がよほど得策です。
ストレスに適切に対処し、逆境にもめげずに能力を発揮してもらうための心のセイフティーネット、自社にふさわしい「居場所づくり」をお勧め致します。
今週の提言
社内の「居場所」づくりでストレスに強い社員を育てる