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専門コラム 第13話:社長として、社員の心をとらえる職場改善を行っていますか コラム

3人の石切り職人の話をご存じでしょうか。こんな話です。

ある町で、新しい教会を建設するために3人の石切り職人が働いていました。そこへある旅人が通りかかりました。

旅人は、1人の石切り職人に尋ねました。「あなたは、何のためにこの仕事をしているのですか?」

彼は、ぶっきらぼうに答えました。「生活をするために決まっているじゃないか。金を稼ぐためさ」

旅人は、2人目の石切り職人に同じ事を尋ねました。2人目の職人の答えはこうでした。「この大きくて固い石を切る為に悪戦苦闘しているのさ」

旅人は、3人目の石切り職人に、同じ事を尋ねました。その石切り職人は目を輝かせ、こう答えました。「多くの人々の安らぎの場となる教会を造っているんだ」

どの石切り職人も、同じ仕事を真面目に行っています。なので、良い悪いはないのですが、3人目の職人はおそらく、自分の仕事が社会にどのように役に立つのかを理解し、誇りを持ってイキイキと仕事をしている人でしょう。

さて、これを個々の職人の意識、価値観の違いだと個人の問題としてとらえるか、そうではなく、組織の問題であり、その組織の長である社長自らが関わるべきことなのかと捉えるかで、その組織の有り方、業績までもが大きく変わってきます。

逆に言うと、社長が積極的に関わることで、組織全体が、社員の意識が大きく変わる可能性があるということを知っているかどうかが、大きな差となるというわけです。

ある外資系企業では、外国人の社長がほぼ3年という周期で交代になるということが当たり前になっていました。日本に赴任した新社長は、ここで自分の業績を本社に認めさせることで懸命にアピールをし、より高いポジションで本社に戻っていくということが続いていました。

ところが、ある時期の社長の考え方は違っていました。社員を理解したいと考え、積極的に社員の話を聞いて回ったのでした。普段から会社のフロア内を歩き回り、社員に話しかけるということを徹底したのです。

しかも社長が社員に聞いたのは仕事のことではなく、プライベートなことや、世間話が中心だったのです。つまり、意識的に社員と交流するという機会を作っていたのです。

最初は構えていた社員の方もだんだんと慣れてきて、時折、笑いが起きることもあったのです。社員との距離がしだいに縮まり、しまいには、「あの社長のために頑張ろう」という気持ちが芽生えてきたといいます。

社会のために頑張る社員ではなく、社長のために頑張る社員が増えていったというわけですが、彼らは社長の人となりを理解するようになります。そして社長が語る言葉に耳を傾けるようになります。

職場の環境を変えていくには時間がかかります。上辺だけ立派に整えても、社員にはその取り繕った感がすぐに見抜かれてしまいます。形式だけの環境改善に手を付けるのではなく、どんな社員がどんな想いで働いているのか、メンタル不調はどのような場合に起きやすいのかなど、自社の現状を理解するなど、社員目線で考え実行しないと必ず失敗します。

当社のコンサルティングでは、「仕組み」を作るということを言っているため、制度を導入するなどのハード面を構築すると思われることも多いのですが、実は、職場環境改善に不可欠なのは、社員の心にアプローチする方法なのです。

今週の提言
職場環境改善の取り掛かりは、社員の心に響くアプローチから


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