専門コラム 信頼関係がカギ!上司の伝え方で引き出す部下の力

弊社にご相談される方の中には、「社員が指示した通りに動かない」と悩んでいる社長を含めリーダーの方が数多くいらっしゃいます。
現状をうかがっていくと、動かない社員に問題があるのではなく、伝える側にあると感じることがあります。
そのためには、「伝え方」を変える必要があります。伝え方を変えれば、指示や思いが伝わり社員も動くのです。そして、彼らとの関係性も改善されるでしょう。
では、どう伝えたらよいのか。「組織をまとめるために、リーダーとしての伝え方」の重要点についてお伝えします。
関係作りから始める
リーダーが組織をまとめるために最も重要なことは、部下と信頼関係を構築することです。
そのためには、まず相手の話をしっかりと耳を傾けて聴くことです。
現場が忙しいと、指示やこちらの考えを一方的に伝えるだけになりがちなもので
す。
指示をすることで効率よく動いてもらうことも大切ですが、あらためて部下の話をじっくり聴く機会をつくると良いでしょう。
傾聴する機会が増えると、部下が「自分のことを理解しようとしてくれている」と感じるので、相手の心が開き、結果的にこちらの話に耳を傾けてくれるようになります。
仕事の依頼や指示も、以前よりしっかり取り組もうと思うようになります。
逆に、仕事の疑問など伝えたいことがあるのに話を聞いてもらえない状態だと、部下は心の中は、伝えたいことでいっぱいになり、リーダーの指示や思いを受け取るだけの心の余裕が不足します。
そのため、こちら側がいくら適切な指示を出したところで、十分に伝わらないのです。伝わらないというより、受け取るスペースがないというのが正しいかもしれません。
他にも、普段から部下の日頃の頑張りや何気ない変化を見つけて、「今日は、笑顔が多くはりきっているね。」、「先日はお客様から感謝されていたね。」などと声をかけることも良いでしょう。
リーダーが「自分のことを気にかけてくれている」と感じるので、より相手との信頼関係を深めることができます。
期待を伝えよう
組織をまとめ、成果を上げるには、一人ひとりのモチベーションを高い状態で維持することが重要です。
社員の「やる気」を高めるには、仕事を依頼する際に「期待している気持ち」を伝えると良いでしょう。
期待されると、この職場、このチームで頑張ろうというやる気につながります。
ピグマリオン効果と言って、人は期待されるとそれに応えようとする心理行動があるからです。
期待を伝える時は、「この仕事は今日中にまとめてくれると、すぐに会議の準備に取りかかれるので助かるよ。」という風に、「助かる」「有り難い」などリーダーの「気持ち」を伝えると、より部下の心に届きます。
「よくやった」「頑張ったね」など肯定的な労いの言葉を伝えことも、部下の自己肯定感が高まり、「やる気」を引き出すきっかけとなります。
労いの言葉を伝えるときのポイントは、わかりやすい言葉でタイミングよく伝えることです。
労いや褒める、認めるなどのポジティブな言葉は、「心理的報酬」といって、金銭的な報酬と同様に、時にはそれ以上に相手の心を動かします。
人を動かす時のキモは相手の心を動かすことなのです。立場上、命令や指示で相手を動かすことができても、良好な関係にはつながらないものです。
このように、組織をまとめるためには、個々の社員と信頼関係を作る土台が必要であり、その上で相手のやる気を引き出す伝え方の工夫が重要なのです。
部下が指示通りに動かないのは、部下が悪いのではない。もしかしたら自分の伝え方に問題があるのかもしれないと真摯に受け止め、改良できるリーダーには、人がついていくのです。