専門コラム 若手社員が辞めずに活躍する組織づくりに必要な管理職教育
第199話: 若手社員が辞めずに活躍する組織づくりに必要な管理職教育
4月に入り、新卒あるいは中途採用で入社してくる社員を迎える時期となりました。特に新卒者は、緊張の中にも、これからの生活や仕事への期待と不安に胸を躍らせています。人事や教育を担当している部署は、毎年この時期になると、入社後の教育に忙しい日々を送ることになります。
厚生労働省が毎年発表している「新規学卒者の離職状況」調査によると、30~99人の事業規模においては、2018年で2年以内に離職した割合は、高卒、大卒ともにほぼ3割となっています。
これはかなり高い割合と言えるのではないでしょうか。
企業も新卒者も互いに時間と労力をかけて、入社に至ったにも関わらず、なぜ多くの若者が早期離職してしまうのでしょうか。
理由は様々ですが、その多くが会社の問題、新卒者の問題、そして職場環境の問題と言えます。
会社の問題というのは、労働時間や給与や福利厚生に不満があるというもの。新卒者の問題というのは、思っていた仕事内容と違ったなどがあげられます。
職場環境の問題というのはどうでしょうか。意外とこの職場環境の問題が見逃されているように感じています。つまり、離職率が高いのは、会社と合わなかった、辛抱できなかった新卒者に問題があるかのように考えていては、早期離職を防ぐことは出来ないということです。
ならばどうしたらよいのか。職場環境には、教育担当者である「管理職」が関わっています。彼らのような現場で実際に教育を担当する「管理職」や「リーダー職」自身への教育が必要なのです。
その際の教育に必要な重要視点は3つ。
マインド養成
まず、教育する立場としての「マインド」をしっかりと持たせるということです。右も左もわからない新人を一人前に立派に育てるというのは、大きな「仕事」です。やりがいのある「仕事」です。
自社の管理職は、教育を大事な仕事をして認識していますか。仕方ない、手がかかると後ろ向きに捉えていないでしょうか。
教育・指導法の変化
また、「自分の仕事を見て覚えろ」というのは、古い価値観です。「教育する」にはどうしたら良いのか、どんな姿勢で臨むべきなのか、時代とともに変わってきています。
以前、自分が教育された時と同じように接すれば問題ないというのは、教育する立場の人間の怠慢です。知識もスキルもアップデートしなければなりません。
コミュニケーション
最後に、重要となるカギが、相手にどう伝えるかというコミュニケーションのスキルです。
個人として、どんなに優秀で成果を出している人材であっても、必要なのは知識や技術、経験だけではありません。特に入社したばかりで、ほとんど関係性が構築されていない若手を指導する場合と、普段から気心のしている同僚とのコミュニケーションは違います。
信頼関係を勝ち取るコミュニケーションが出来るかどうか。それが重要になってくるのです。
このように、早期離職を防ぐためには、現場で実際に彼らを指導している立場の人間にもしっかりと教育をする必要があります。それをやらずに、やれ給与を上げなければ、福利厚生を充実する必要があるなどと、対策を打ったところで、離職防止には役に立たないのです。
ですが、管理職研修を行ったからといって、十分とも言えません。彼らが学んだことを「自己流」にやってしまうと、効果が出ない場合もあるのです。
当社では、人が辞めない組織にするために定期的な面談を実施することを強くお勧めしていますが、この面談を仕組み化して、自社に定着する必要があるのです。
社長は、本気で「社員が辞めずに活躍する組織にする」ための秘訣を知ってください。学んでください。そして仕組み化してください。今の時代にこそ求められている「指導法」をぜひ自社に取り入れてください。
今週の提言
新卒の早期離職防止には管理職側のマインドとスキルアップが必要である