専門コラム 中小企業に必要な、会社を担う人材育成のあり方・進め方
第188話: 中小企業に必要な、会社を担う人材育成のあり方・進め方
新型コロナウィルス感染予防がきっかけで、テレワークなど新しい働き方を導入した企業では、この機会に人事評価制度を見直し、新たな制度を取り入れようとする流れが出来ています。
実際、これまでのように「毎日職場で顔を合わせて仕事をしていた」という環境が崩れ、テレワークでは「部下の頑張りや成果が見えにくい」という課題が浮き彫りになっているからです。
今年は、働き方が変わるだけではなく、人事評価制度も変わるという、さらなる「変化」の年になることでしょう。コロナ禍における自社の業績悪化にともない、副業を解禁する企業も増えてくれば、これまでは一部の恵まれた人々の「働き方」が、多くの人にとってより身近になる可能性も大きくなると予想しています。
当社では、個人向けのカウンセリングやコンサルティング事業も行っているのですが、実際、40代、50代以上の方々から自分自身の「キャリア」の見直し、立て直しを希望するキャリアコンサルティングのお申し込みも増えてきています。つまり働く側にとっても、「いかに働くか」「何を重視して働くか」がますます問われる時代になっていくのです。
人を育てる制度としての評価制度
一方、企業としては、言うまでもありませんが、「評価制度は人を育てる制度である」という視点が欠かせません。特に中小企業においては、労働人口が減少する中、人が育たない、人が定着しないという「人」に関する課題は、経営課題の上位に常に位置するほど大きな、深刻な問題になっています。
シニアの再雇用を含めた人材活用が上手く出来るか否かが、会社の成長にも大きく影響するということです。
そして昨年からのコロナ禍が継続していく以上、企業に求められる「変化」の速度は加速していくことになります。変化にいち早く対応し、その変化に素早く順応し力を発揮し成果を出す働き手を育てられるかどうか。「人を育て活かす」、これは中小企業にとっても、今すぐ手を打つべく重要な経営課題なのです。
人材を育成していく上で、これまでは、社内における能力やスキルが重宝されていました。それらの能力やスキルの高い働き手が高く評価され、重宝されてきました。
会社を担う人材は、社内スキルを伸ばすだけでは不十分
しかし、これからは違います。大切なのは、社外でも通用する「専門的な能力やスキル」、どんな職場でも欠かせない社会人としての「基礎力」、特に他者とつながり協力して成果を出す「チーム力」や「コミュニケーション能力」です。
さらに、時代や環境の変化に対して、柔軟に対応できるマインドを持っていることが求められるのです。例えば、未経験な領域に対してもゼロベースで挑戦する姿勢や、新しいスキルや能力を獲得していくことに貪欲な気持ちなどです。
自らキャリアを構築していく姿勢を育む
「会社が必要とする人物像」が変わっていくわけで、当然、働く側からの反発も避けては通れないでしょう。しかしながら、人生100年時代と言われる中、働き手自身もキャリアは、「会社が与えてくれるものではなく、自ら構築していくものである」という発想の転換が必須なのです。
先の見えない、ただし変化のスピードが加速していくこれからの時代に向け、常に学んでいくという姿勢も重要です。
人を育て、活かすことが上手な企業は、会社が望む人物像を明確化しています。必要とされる基礎力や専門性、コミュニケーション力を伸ばせるような育成をしています。そして、個々人が自らのキャリアの将来像を見据え、常に学んでいくという姿勢を持てるよう支援しているのです。
さて、御社では、これからの時代に欠かせない「人材育成」の在り方をつかんでいますか。それを実践できていますか。社内でしか通用しないスキルや能力を持つ人材は、会社の変化や飛躍に柔軟に対応できるとは限りません。今、このような時代だからこそ、「マインド」や「姿勢」をも育成していかなければならないのです。
今週の提言
社内でしか通用しない人材を育成する愚に気づいているか