専門コラム 今後、若手育成に従来の「社内研修」は必要と考えるか
第148話: 今後、若手育成に従来の「社内研修」は必要と考えるか
先日、研修やワークショップなどを企画しているある企業の責任者の方からうかがったのですが、4月の入社時期に伴い、新入社員教育へのお問い合わせが増えてきているのだそうです。加えて、いよいよ今年から、パワーハラスメントの防止措置が企業に義務化されることになり、ハラスメント防止研修の企画や実施についてもこれまで以上に依頼が殺到しているのだとか。
社員研修を企画する現場では、今、企業からの依頼内容が変わりつつあることを実感しているというのです。その変化に迅速に対応できるかどうかが問われているという話をされていました。
弊社でもアクティブメンタル組織づくりのコンサルティングの中で、実感するのが、若手社員の育成に頭を悩ませている社長の存在です。これまで同様、社外講師を招いて行ってはいるものの、あまり評判が芳しくないのだとか。それは研修内容にあるというよりは、研修のしくみにあるのではないかと当社では考えています。
知りたいことをサクッと知りたい若者心理
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最近の企業研修は、社員が各自、都合のよい日時に学ぶことが出来るというe-learningなどを取り入れることが増えてきています。しかも、そのe-learningのコンテンツはシンンプルに作られています。時間も1時間程度と非常にコンパクトになりつつあります。その理由のひとつが、若い世代が集中できる時間が短くなっているからなのです。
普段から動画に慣れ親しんでいる世代は、自分の都合で学ぶことができるe-learningは好都合です。しかも、わからない箇所があれば、好きなように戻ることも出来るので、自分の理解に応じて学ぶことが出来ます。
ところが、言うまでもなく、学んだことを実践する場でつまずいてしまうのです。というのも、実践はまさに生身の人間同士の交流、対話となるからです。
「自分の都合」だけではなく「相手の都合」が発生するため、「自分の都合」だけを優先してしまう感覚では太刀打ちできなくなるのです。
同世代間のディスカションは得意である
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一方で、大学の授業や就活のインターンシップなどで、「ディスカッションする」機会は大変増えています。一方通行ではなく、ある話題について仲間とディスカションしつつ、方向性を決め結論を導きます。
そのようなディスカッションの場において、自らの考えを発信することには長けているのです。社会に出る前から実践する場があり訓練されているからです。
ところが彼らが入社前に経験してくる多くのディスカッションは、同じ世代の仲間との間によるものです。職場では、異なる世代、異なる価値観の人間とも、対話、相談、交渉などを行わなければなりません。
自分たちの慣れ親しんだ言葉や方法が、全く通用しない、つまり相手に通じないという挫折体験をするのも、社会人となるこの時期です。
新しい「人材育成の仕組み」とは何か
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さて、さくっと要領よく知りたい心理と同世代以外とのディスカッションに慣れていない若い社員の特徴について少し理解していただけたでしょうか。
そうであれば、これまでの研修方法、研修内容で良いのでしょうか。そもそも研修というシステムが彼らの育成に欠かせないのでしょうか。
つまり、今どきの若手社員に合わせて、これまでのやり方を変えるべきなのか、変えないべきなのかということなのです。
弊社では、合わせるべきであるという考えのもとに、若い世代が積極的に自らコミットしていきたいと思うような育成の場を提供すべきであると考えています。これまでコンサルティングで関わってきた企業では、コンサルタントと共にその点をしっかりと議論し、新しい「育成の仕組み」を作ってきました。
研修を実施するのが目的ではありません。若手社員が、知識やスキルを学び実践に活かすことで、自ら考え行動できるようになることが目的なのです。そのための手段は何も研修だけではありません。
今の時代の彼らにあった方法、得意な方法で学んでもらえば良いのです。社員が成長していく「社内の仕組みづくり」で、御社もアクティブメンタル組織を目指しませんか。
具体的な「新しい仕組み」については、弊社主催のセミナーでお伝えしています。ぜひ一度、お問い合わせください。
弊社では定期的に自社セミナーを開催しています。開催予定のセミナーがあります。
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今週の提言
若い世代が、自らコミットしたいと願う「新しい仕組み」を導入する
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