専門コラム 部下のやる気を引き出すコツ。放置しない指導のポイント

先日、朝ドラ「虎に翼」の主人公のセリフの中に、「この仕事が好きなんです。困っている人たちを幸せに出来る最高の仕事なんです。」というセリフがありました。
この時代、女性が弁護士、裁判官という仕事を続けていくためには、相当の覚悟があったと思いますが、この「力強いセリフ」にうなされました。
・自分の仕事が好き
・自分の仕事に誇りを持っている
とても幸せなことだと思います。
そして、この主人公、寅子の言葉のように自分の内側から発せられる言葉が仕事へのチャレンジやモチベーションをもたらすのです。
内的動機付けとは
仕事に対する強い意思や、楽しいという感情、興味関心の高さ、好奇心により、モチベーションが保たれている状況を「内的動機づけ」されていると言います。
反対に「外的動機付け」という言葉があります。これは、高い給与、地位や待遇などの報酬により動機付けられていることを言います。
どちらも仕事へのモチベーションを高く持ち、継続していくには大切な動機です。
ただ、「外的動機付け」は、ある一定の給与や待遇を手に入れた後はあまり動機付けとして働かないとも言われています。一方で「内的動機付け」は、劇的な効果が期待できないとも言われています。
ですが、「やる気が起きない」、「自信が持てない」時ほど、仕事に対する強い意思や、楽しいという感情、興味関心の高さ、好奇心が必要になってきます。
やる気がない部下への関わり方
あなたのまわりで、最近、やる気がないように見える、自信をなくしたように感じるという部下がいる場合は、彼らの内なる仕事に対する意思や興味関心を引き出す対応をすることをお勧めします。
なぜなら、本人は、仕事に対する前向きな気持ちが持てないから「やる気が起きない」という状況に陥っているわけです。
ですから、外部から、上司側から彼らの「やる気」を引き出すように関わるということです。「やる気」を引き出す関わりとは、「頑張れ」とか「やる気を出せ」と声をかけるということではありません。
まずは、部下の状況や気持ちを理解するために、じっくりと話を聴くことから始めましょう。何がきっかけでやる気を失ったのか、自信をなくしたのかを尋ねてみても良いでしょう。
部下を理解した上で、次にポジティブな声かけをしてみてください。過去に頑張っていたことや、成果を出したことなど具体的に言葉に出して伝えるのです。
何が求められているのかを考える
ここまでは、部下本人に対し、どう声がけをすべきかをお伝えしました。部下本人は、自分自身の感情や体験に目をむける機会となったことでしょう。
ですがそれだけでは、自発的に行動しようという意欲につながることは難しいものです。最後に必要なのは、外へ目を向ける、関心を持つということです。
外というのは、自分以外の社会や顧客と考えてみます。今の仕事を通じて、どのように社会や顧客の役に立てるのか、どう貢献できるのかを考えてみるということです。自分に向けていた視線を、外に移してみるのです。
「さて、自分の仕事はどう社会に、顧客に役にたっているのか」
「どんな社会の困りごと、顧客の悩みを解決できているのか」と考えてみるということです。
1on1など部下個人と話す機会を通じて、ぜひ、外に目を向けるよう促してみてください。その際、上司としてあなた自身が、どんな考えを持っているのかを伝えてみましょう。
結局は、経営者や上司が、内的動機付けをされており、仕事にやりがいを持ち、熱意をもって働いているという姿を見せることが最も重要とも言えるのです。
今日の提言
部下の興味・関心を引き出す。そして今の仕事の意義を考えるよう促す。