専門コラム ハラスメントが起こったら、社長が必ずすべき基本3つ
第92話: ハラスメントが起こったら、社長が必ずすべき基本3つ
イキイキ働く社員が育ち、働きがいのある職場環境づくり、活気ある組織風土づくりを専門に行っている当社には、日ごろより人材育成に対する意識が高く、すでになんらかの取り組みを行っている社長や経営幹部から様々な相談をお受けしております。
先日は、コンサルティングの終了時に、「ハラスメントがきっかけでメンタル不調に陥ってしまった社員に対して、組織としてどう対処すべきか、コミュニケーションのあり方全体を見直したい。」というご相談をお受けしました。
これまでのコラムでも指摘している通り、ハラスメントは単に加害者と被害者の問題ではなりません。組織に多大な影響を及ぼすのです。例えば、一旦、加害者を配置転換したとします。その場合、被害が拡大するとは免れたとはいえ、被害者がすぐさま元気になるとは限りません。心が健康を取り戻し、以前のようにハフォーマンスを発揮できるようになるまで相当な時間がかかることもあり得るのです。
また、職場でハラスメントが起きたことにより、多くの管理職が部下とのコミュニケーションに及び腰になってしまうこともあります。ひと昔前までは、「厳しい指導」であった言動が、今の時代、なんでもかんでも「ハラスメントである」と訴えられてしまっては何も出来ないと考え、思考が止まってしまっているからに他なりません。
このように、たった一件のハラスメントが、まわりの管理職へ与える影響もそれはすさまじく大きいのです。ですが、「自分には関係ない」と無関心でいられるよりは、まだマシです。管理職がまさに「自分ごと」として、経営者が「組織ごと」として真剣に向き合うのであれば、ハラスメントのない職場にすることは可能なのです。
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委縮せずに「チャンスと捉えられるか」がハラスメント撲滅への道
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「ハラスメントに真剣に向き合う」ために必要なことは以下の3つです。
まずは、起こった事実を受け入れること。特に加害者が優秀な人物で職場の期待も大きかった場合などは、その事実を受け入れがたいこともあるのですが、大げさだ、あり得ないなどと否定してはいけません。
次に、自身のコミュニケーションのあり方を振り返ること。「自分に限って大丈夫」と思っている人物こそが要注意なのです。自分も状況によっては、立場によっては、同じことをしてしまうかもしれない、その可能性があるかもしれないと思えるかどうか、それはとても重要です。特に、コミュニケーションにおいて、相手、主に部下の言い分を聞いているかどうか、そして相手を尊重した上で言動が出来ているかを見直してください。そのような議論をする場を作ることをお勧めします。
ハラスメントが怖くて、適切な指導ができないという悩みもありますが、それに対しては、正しい知識を学んでください。厳しい指導であっても、「業務上の適正な範囲」と認められる限り、それはパワーハラスメントには当たりません。研修を行うなど、この機会をチャンスと捉え、正しい知識を得てください。
反対に、絶対にやってはいけないことは、あえて積極的に関わらないという選択をすること。委縮する必要はありません。繰り返しになりますが、この機会をチャンスと捉え、部下指導方法も大きく変わろうとしている今、ふさわしい言動について学ぶことが重要なのです。
最後に、最も重要なことでもありますが、社長はじめ、経営層が自ら「ハラスメント撲滅」を宣言すること。ハラスメントを決して許さないこと、より安全で快適な職場づくり、社員がみな心身共に健康でいきいきと働く職場づくりを目指すということを、ぜひご自身の言葉で力強く語ってください。
今週の提言
ハラスメントは「組織全体への悪」と肝に銘じる
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