専門コラム 【中小企業向け】ストレスチェック義務化と職場改善の実践法

2025年5月、労働安全衛生法が改正されました。
これまで従業員50人以上の事業場で義務だったストレスチェックが、50人未満の中小企業にも拡大されることが決定したのです。
遅くとも2028年5月までには、すべての事業場で義務化がスタートする見通しとなっています。
つまり、「うちはまだ対象外だから」とは言えない時代に入りました。
この流れを受け、「ストレスチェックは義務だから仕方なくやるもの」もし、そう考えているとしたら、とてももったいないことです。
従業員30~80名規模の中小企業にとって、社員のメンタル状態はそのまま業績に直結します。
ひとりの不調がチーム全体の生産性に置きく影響するからです。
今後は対象拡大とともに、形だけでなく中身が問われる時代になります。
では、どう活かせばよいのでしょうか。
ストレスチェックの本当の目的
まず押さえておきたいのは、ストレスチェックは「不調者をあぶり出す制度」ではないということです。
しかし現場では、「高ストレス判定=評価が下がるのでは?」「昇進に影響するのでは?」という誤解がいまだに残っています。
この誤解があると、社員は本音で回答しません。
「今年は高ストレスにならないように答えよう」と考える人も出てきます。それでは意味がありません。
経営者や管理職がまずやるべきことは、制度の目的を正しく伝えることです。
・個人を評価するためではない
・職場環境を改善するための材料
・安心して働く土台づくりの一環
このメッセージを、丁寧に何度も伝えることが信頼を生みます。
ストレスは悪者だという誤解
また、職場において「ストレスゼロ」を目指す必要はありません。
新しい役職、新規プロジェクト、顧客開拓。これらは確かに負荷がかかります。ストレスの原因となりうることです。
しかし同時に、成長の機会でもあります。
つまり、適度なストレスは、やる気や達成感につながるということ。
問題なのは「過剰なストレスが放置されること」です。
・慢性的な疲労
・イライラ
・落ち込み
・不安
・判断力の低下
これらは我慢しても改善しません。逆に悪化の一途をたどります。そして、仕事上の判断や行動の質にも直接影響します。
ストレス対処能力が会社の未来を決める
社員がイキイキ働く会社には共通点があります。
それは、ストレス対処能力(ストレスマネジメント力)を高める機会があることです。
しかし実際には、ストレス対処を体系的に学ぶ機会はほとんどありません。
だからこそ、会社側の姿勢が重要です。
・ストレスマネジメント研修の実施
・メンター制度の導入
・外部カウンセリングの活用
・1on1の質向上
・心理的安全性のある場づくり
これらはすべて、離職防止と業績向上につながります。
実は効果的なのは「楽しい場」
職場に楽しい場を提供する・・・ここが意外なポイントです。
「これはストレス対策です」と前面に出す必要はありません。
・気軽に参加できる社内イベント
・部署を越えたランチ会
・成功事例の共有会
・小さな達成を称える文化
こうした取り組みが、結果的にストレス緩和の場になります。
ポジティブ感情は、回復力を高めます。心理学では「レジリエンス」と呼ばれます。
私は15年以上、産業分野でカウンセリングを行ってきましたが、業績が安定している会社ほど「人が安心できる場」を意識的につくっています。
ストレスチェックは、その入口にすぎません。
経営者がまず変えるべきこと
ストレス対処能力を高める第一歩は、経営者・管理職の意識です。
「問題が起きてから対応する」ではなく、「起きにくい環境をつくる」
この視点が重要です。
御社には、社員が安心して弱音を吐ける場がありますか?ストレス緩和の仕組みはありますか?
形式ではなく、本質を見直す時期に来ています。
さらに深く学びたい方へ
ストレス対処力を高める具体的な実践法や、現場で使える心理学的アプローチについては、noteで詳しく解説しています。
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