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専門コラム ストレスチェックの結果を予防に生かしている社長の重要視点 コラム

職場全体の環境整備や社員の不満感を見逃さない

第78話: ストレスチェックの結果を予防に生かしている社長の重要視点

秋に入り、ストレスチェックを実施する企業が増えてきました。平成27年12月から年1回のストレスチェックが義務付けられたわけですが、義務化1年後の調査によると、実施義務がある規模50人以上の事業場において、その実施率は82.9%と公表されています。

今後は、50人未満の事業場でもストレスチェックを実施しなければならなくなると推測しておりますが、ストレスチェック制度導入と実施にあたっては、厚労省から提示されている実施マニュアルに則り行うだけではなく、初期コストなども必要となるため、中小企業で実施が義務化された場合は、まずとにかく、無事に実施することが目標になってしまうこともあり得ると考えています。

ですが、ストレスチェックは実施後、その結果をどう利用するかが最も重要なのです。社員がすべきことと、会社がすべきことがあります。

高ストレスという判定が出た社員は、産業医面談だけではなく、働き方の見直しをする、ストレス対処法を実施するなど、自らストレス軽減のために行動することが求められます。

会社がすべきことで最も重要なことのひとつは、ストレスチェックの集団分析の結果を役立てるという視点です。集団分析とは、ストレスチェックの結果を職場や部署単位で集計・分析し、職場ごとのストレスの状況を把握することで、企業の努力義務となっています。

この分析の結果を、職場環境改善に生かすという視点が重要なのです。例えば上司からのサポートをあまり得られていないと回答した受検者が多い職場で、同時に高ストレス者も多ければ、上司との関係がストレスと何等かの関係があるのではないかという仮説を立てることができるわけです。

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 気づいた時、何かが起こった時では遅い・・・こともある
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先日、弊社にコンサルティングを正式に依頼された企業は、まさに、このストレスチェックの集団分析結果をもとに、職場風土全体を改善する必要があるという認識を持っています。

何が原因で高ストレス者を出しているのか。もちろん、個人の資質による要因もあれば、家庭などプライベートな要因もあります。ですが、ストレスの要因が職場の要因であるというのであれば、必ず「打ち手」があるということです。

ストレスチェックは実施したから良いというわけではありません。実施したことで安心してはいけないのです。ましてや義務化だからという理由で実施し、その結果、予防に生かさないというのは実にもったいないことなのです。

高ストレスの原因は、仕事の量や裁量、人間関係だけではない場合もあります。キャリアに関する課題や悩みを持っている社員もいるのです。つまり、今の仕事は自分にあっている、やりがいもある。楽しいと感じる、がこの仕事をこのままずっと続けていてもよいのだろうか、自分は成長できるのだろうか、と思い悩んでいるという場合もあります。

放置していれば、いずれ仕事に達成感を感じられず、優秀な社員ほど辞めていってしまいます。残された社員も、あのエースが辞めることを決断したのだから、この職場はあまり魅力的ではないのだと考え、ますます士気が低くなるばかりで、悪循環です。

高ストレス者だけの対応で安心していませんか。普段、社員が感じている不足感に常に目を向け、いかに社員が働きがいを感じられる仕事、職場にしていくのか。そのために社長が自ら率先して、実行していかなければならないのです。

ストレスチェックを義務付けられていない事業場でも、社員に定期的にアンケートやヒアリングを行い、職場環境における問題点を把握していることが重要なのです。うちには関係ない、必要ないと社長が考えている限り、しだいに士気が低くなり、優秀な人財が流出するなど、徐々に職場が崩壊していくのです。

今週の提言
 職場全体の環境整備や社員の不満感を見逃さない

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