今週の専門コラム 「アクティブメンタル®体制でつくる収益と笑顔」 第70話: 若手社員が根付かない会社の勘違いコミュニケーション

先日、個別相談でうかがった話です。「若手社員がやる気がない、成果を出せない、それでも頑張ろうという気迫が伝わってこない」とお嘆きの社長。若手社員をどう育成していったらよいのかわからないというお悩みでした。

ですが、よくよく事情を聴いていくと、若手社員の問題ではなく、彼らを適切にマネジメントできていない管理職の問題ではないかと思ったのです。

そもそも社内で上司と部下とのコミュニケーションは活発なのだそう。ですが、そのコミュニケーションの大部分が、「やれ」という指示、「ダメ」という命令になってしまっていたのです。しかもその後のフォローは全くなし。上司は言いっぱなしになのです。

しかも、一部の管理職は、まるで部下を「もの」としてしか見れなくなっているかのようだと話されます。そもそも管理職自身が業務に追われ心の余裕がない。自分自身のことで精いっぱいの状態なのです。

また自分でやってしまった方が早楽だという考え方の管理職も。このようなタイプは、自分自身がきわめて優秀で管理職になった人に多いものです。そのため、自分自身はやる気はマンマンなのですが、部下を巻き込めていない。そのため部下はついてこれずに白けてしまうのです。

それを上司は、今の部下はなっていないと見下してしまう、の繰り返し。結果的に、十分なコミュニケーションがないままに、とにかくこれを「やっておいて」という指示的なやりとりにしかなっていないのです。

中には、もともとは情熱的でやる気に溢れた若手社員だったにも関わらず、ある時、自らが考えて提案した内容を、上司から前例にないという理由で速攻却下されてしまったとします。その場合、自分は尊重されていないという思いが残り、ゆくゆくは職場を去るという選択をすることもあり得るのです。

その場合も、なぜ却下されたのか十分に検討したのか。
前例がないからではなく、納得できうる説明や議論をしたのか。
管理職が自問自答すべきでしょう。ですが、本当は話を聴いてやりたいのだが、時間と心の余裕がもてない・・・

では、どうしたらよいのか。やはりコミュニケーションの質を抜本的に変える
必要があるのです。その場合は、コミュニケーションの質を変える必要があります。しかもそのカギを握るのは、管理職側になります。

・ 部下の感情を理解しようとしているか
 ・ 一緒に働く仲間として尊重しているか
 ・ 出来たこと、見えることだけを「評価」していないか
 ・ そもそも自分と同じ価値観で働いているにちがいないと決めつけていないか

まずは管理職自身がこの点を見直すべきなのです。

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 価値観の違う社員を受け入れる心の容量はあるか
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と、ここで経営陣が管理職に「そのやり方ではダメだ。もっと部下の話を聴け」と命令したとしても何も変わりません。話を十分に聞かずに命令するスタイルは同じだからです。

では、どうしたらよいのか。この場合はまず、経営陣が管理職の悩みをきくべきです。そして、部下と信頼関係を築きながら対話するコミュニケーションについて十分に議論し、スタイルを決め、実践していくしかありません。

大切なのは、まずは、自分と違う価値観があることを理解し、受け入れる努力をするということです。

また、評価ではなく、相手に力を与えるコミュニケーション、つまりエンパワーするという考えに基づく対話ということでしょう。出来たこと、見えていることだけではなく、本人の性格や考え方、取り組み方などのプロセスなども理解しようとする、認める、称賛するということです。

すぐに答えを与えず、相手に考えてもらうというアプローチも重要です。しかしその場合も、「考えろ」と伝えてはいけないのです。相手の考えを引き出すアプローチが必要なのです。また、部下が上司の前で、安心して未熟な考えを話しても大丈夫だと思える環境づくりも求められるのです。

若手育成には、管理職育成から始めなければならない場合があります。それを率先して行うのは、社長をはじめとする経営陣であるべきなのです。

今週の提言
若手育成には管理職の心の容量が求められている