専門コラム 第59話: 社長が知っておくべき 社員のやりがいが持続する社外活動づくりの基本
職場の環境改善という言葉で多くの方が真っ先にイメージするのが、安全配慮義務に則った社員が心身ともに安全で働ける環境を整えるということは言わずもがなですが、「社内制度」「風土づくり」「人財育成」などの仕組みづくりではないでしょうか。
実際に当社のコンサルティングに興味や関心を持ち、依頼される企業の目的はメンタルヘルスの徹底予防であったり、自立型人財の育成であったりと様々ではありますが、多くが、結果として、社内環境を変える、整備する、創り上げるといったことを期待されていらっしゃいます。
社員のことを大切にし、人財育成こそが企業の成長には欠かせないと信じている経営者は、研修を導入したり、社内に様々な育成のための制度を導入したり、社員旅行を含む年中行事を実施したりと熱心に取り組まれます。
そのアイディアと行動力は大変素晴らしいのですが、実はここに大きな落とし穴があります。社長の意識が社内に向きすぎてしまうという弊害のことです。その結果。本来、社長としてすべきことが疎かになってしまうということです。
社員の方も、社内に様々な制度や活動がありすぎて、もはや新鮮味を感じることも少なく、実はあまり参加できていない、新しい制度に対しても「またか」という感覚を持ってしまうという本音を聞きます。
他にも、交流が盛んなのは良いことではありますが、社内の雰囲気がまるで「仲良しクラブ」のようになってしまい、その居心地の良さから、何かにチャレンジすることには臆病になり、「現状維持が居心地の良いこと」ということになってしまう可能性すらあります。現状維持がゴールになっている組織にもはや活力はありません。
その結果、社長が、これまた「社員のやる気がなくなっている」と焦ることになり、さらに新しい制度を導入する、人事評価制度を再度見直す、作り直すという小手先の施策に陥ってしまうのです。こうなると悪循環でしかありません。しかも、社内には様々な制度やイベントが乱立し、素晴らしい内容であっても際立つこともなく、社内に根付かないという皮肉な結果になってしまうのです。
社員の成長と企業の成長を目指してきたにも関わらず、一旦、このような悪循環に陥ることで企業の成長が望めなくなれば、社員にとっては、「経済的な報酬」も失う危機感を持つことになり、やる気を持つことなど到底不可能であるという窮地に陥ることも大いにあり得るのです。
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ステークホルダーへの「貢献」を実感できるかがカギ
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社員の「やる気」を持続させるためには、個々の社員が、自分がどれだけ顧客に社会に必要とされているか、貢献できているかを実感できているかが重要です。しかしながら、実際にそれらを実行しようとすると、営業部員だけではないのですから、普段の業務で「貢献」を感じることが難しいという立場、職務の社員もいるわけため、頓挫してしまうことすらあります。
ですが、別の言い方をすれば、営業部員ではない社員にとっても、「顧客」は存在しています。それが自社のサービスや商品を購入してくれる「お客様」であるとは限らないだけなのです。取引先や社員などの他のステークホルダーであるということです。
それらステークホルダーに対しての「貢献」を日々実感できるような仕組みや取り組みは、社員の意識を外に向けさせるという意味においても、実はとても重要な視点なのです。
他にも自社の事業の価値を活かしたCSR活動を導入する企業もあります。しかも、自社が寄付をすることで、特定の団体や活動を支援していくというのではなく、社員自らが参加できる活動を導入しています。
安易なCSR活動の導入は、社員が「じぶんごと」をして捉えることができないばかりか、「やりたいこと」ではなく「仕方なくやっている」という活動になってしまうという危険性もあります。
ですが、導入にあたり、いくつかの重要なポイントを押さえれば、社員が自社に誇りをもち、やりがいを感じて仕事に邁進する大きなきっかけとなります。社員の成長や幸福に大きく寄与する活動を創り上げることも可能なのです。
まだまだ自社ではCSR活動は負担になるばかりで無理とか、実際に何をすべきか全くわからないとお悩みならば、ぜひ当社主催のセミナーにお越しください。
今週の提言
社長の意識が内向きになりすぎると組織が悪循環に陥る