今週の専門コラム 「アクティブメンタル®体制でつくる収益と笑顔」 第38話:働き方改革が、ゴール設定で失敗する理由

残業禁止による長時間労働の是正、テレワーク導入による柔軟な働き方推進、ストレスチェック後の集団分析実施と職場改善。今、職場の働く環境は大きく変化しつつあります。

大企業の成功事例を目の当たりにする機会も増えてきましたが、言葉が独り歩きをしている印象も拭えません。大手企業の成功ストーリーは確かにインパクトがあるものです。そして真面目に職場環境や社員の働く環境のことを考えている経営者ほど、では自社にも早速取り入れてみようと考え、動き出します。

例えば、ストレスチェック後に高ストレスと判定された社員と、そのような社員が多い部署への対処法として、産業医面談を設定するだけではなく、高ストレス者へのカウンセリングを取り入れようとする。また、そのような部下をもつマネージャーに対し、マネジメントを見直すためにコーチングを取り入れようとする。

あるいは、積極的に在宅勤務制を取り入れることで、育児や介護をしながら働く社員の負担を減らそうとする。生産性の高い働き方を意識してもらうために、残業時間を制限し裁量労働制を導入する。

ところが、経営者や人事の責任者として自己満足を感じるだけで良いのであればかまいませんが、これらの取り組みを導入する際に、ゴール設定をせず、あるいは曖昧にしたまま、目先の対処法として様々な施策を行ったとしてもその多くが失敗します。せっかく労力と費用を投じたにも関わらず、全く定着しません。

ゴール設定とお伝えすると、「いやいや、高ストレス者を昨年より一人でも少なくするというゴール設定がありますよ。」ですとか「残業時間を20%削減するという数値目標があります。」などと答えられる方もいらっしゃいます。

でもここで一度、考えて欲しいのです。それらが本当のゴールなのでしょうか。

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 成功事例からでは見いだせない、本当のゴール
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 高ストレス者を一人でも減らして何を目指すのですか。残業時間を20%削減することで、どんな職場を目指すのですか。

「心身が健康で、生産性の高い働き方が出来る自己コントロールに優れた社員になってもらう」

では、そのような社員を増やして、何を目指すのですか。どんな会社を作り上げるのですか。経営者として本当に考えて欲しいのは、この次元のゴールなのです。

働き方改革を実現するための、個々の制度や仕組みの内容ではなく、実現した後、会社が目指す「あるべき組織の姿」は何なのでしょうか。そしてそのような組織を作って、何をしたいのですか。あるいは何かをしたくないからこそ、働き方改革を行うのでしょうか。

答えは当然、様々です。そして決して成功事例をいくら学んだとして見いだせない答えです。他社と全く同じであるはずもありません。自社ならではのゴールだからです。

働き方改革を始めとする職場環境改善に必要なのは、俯瞰的に、そして未来を見据えたゴール設定です。まずは、この点を徹底的に考え抜き、議論して決める必要があるのです。

弊社のコンサルティングにおいても、この点については、じっくり時間をかけて行っています。といっても頭を抱えるほど難しいことではありません。言語化、意識化さえていないだけで、すでに答えをもっているという場合が多いからです。

さて、御社の働き方改革や組織改革、そのゴールは何ですか。言語化され共有されていますでしょうか。

今週の提言
「あるべき組織の姿」を設定し未来戦略を決めるのが先