専門コラム 社員がイキイキ働き生産性の高い職場に欠かせない社長の先見力
第81話: 社員がイキイキ働き生産性の高い職場に欠かせない社長の先見力
イキイキ働く社員が育ち、働きがいのある職場環境づくり、活気ある組織風土づくりを専門に行っている当社には、日ごろより人材育成に対する意識が高く、なんらかの取り組みを行っている企業の社長さんからお問い合わせをいただいております。
すぐに何等かの打ち手の必要性を感じて取り組む方もいれば、「自社の職場の雰囲気はさほど悪いようには感じない。今すぐに、職場環境改善のために何手を打つ必要はないと思う。」と言われる方もいらっしゃいます。
確かに業績も良いし、若手の離職が相次いでいる、管理職が部下を育てられないなどの緊急な課題がなければ、しばらくは様子を見ようと考えることも無理はありません。
ですが、社員が仕事に熱心に取り組んでいるという場合でも、どのような心持ちで働いているのかは、当たり前ですが、見えません。
使命感を持ち、楽しみ、喜びを感じながらイキイキと仕事をしているのか。あるいは、仕事の量が多すぎて間に合わず、自分ひとりで頑張らなければならないから仕事をしなければならない状況に追い込まれているのか。
前者の場合は、自身の能力を発揮し生産性向上につながる状態ですが、後者は、ワーカホリックにならざる状況で、必ずしも生産性が上がるとは限りません。それどころか、しまいには燃え尽き状態に陥る可能性も秘めています。
つまり、両者の差はとても大きいのです。
社員の心は見えません。表面に見えるという状況だけで、「うちはまだ大丈夫だ。」と判断してしまうのは、大変危険なことでもあります。というのは、何らかの目に見えるようになるのは、相当、状況が悪化した時だからです。
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問題が目に見えてから手を打つか、芽を出す前に刈り取るか
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予防や早期発見という視点を持ち、早期に対処する方法を選ぶか、あるいは、しばらく様子を見ながら、何等かの目に見える状況が出た時に対処法を考えるか。
それは社長の判断によりますが、何等かの目に見える状況が出てきた時に対処する場合は、相当の痛みを伴う方法が必要になるかもしれないという覚悟を持つ必要があります。
ハラスメントが繰り返しあったと訴えられるなど、急に問題として浮上するかもしれません。または、優秀な社員が会社を離れるとか、なんらかの不調を訴えて仕事に支障が出るとか、休みがちになるかもしれません。
たった一人の不調者やハラスメント被害者が出た場合、中小規模の企業であれば、よりダメージは大きくなるでしょう。というのも、一人の不調をまわりでカバーしなければならず、その影響は広範囲に及ぶからです。ハラスメントが加害者や被害者だけではなく、組織に多大な影響を及ぼすというのも以前、このコラムでもお伝えした通りです。
また、そもそも職場環境改善は時間がかかります。時間をかけたくないと荒治療をすれば良いかというと、その代償も大きく、結果として以前の状態に回復までに辛抱強く時間をかけなければならないという場合もあります。
かといって、本当に職場環境が良く、社員が仕事にやりがいと感じている場合も当然あります。「社員の心の中」という目に見えない課題を炙り出すには、ストレスチェックでも社内アンケートでも、インタビューでも良いので、ある程度の時間を取って、職場環境や人間関係についてリサーチすることをお勧めします。
そして、目に見えるほど悪化した状況に陥る前に、予防や早期発見、早期対応という視点から、なんらかの手を打つことが結果として、より早く「働きがいのある職場」をつくるために必要なのです。
今週の提言
社員の心は目に見えない、といって見逃していないか。
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